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議員提出議案

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件名

発議案第1号 岩手県県産木材等利用促進条例

本会議議決結果

議決日:平成31年3月25日
議決結果:原案可決

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内容

【政策的議員提案条例】
 岩手県県産木材等利用促進条例

 目次
 前文
 第1章総則(第1条−第10条)
 第2章主要な施策(第11条−第17条)
 第3章施策の推進(第18条−第20条)
 附則

 県土の約8割を占める本県の森林は、県木のナンブアカマツをはじめスギやカラマツ等の針葉樹のほか、木炭やしいたけ原木にも利用されるナラ等の広葉樹といった多様な樹種で構成されているのが大きな特徴である。この豊かな森林資源を木材として様々な用途に有効利用していくことは、地域の林業及び木材産業の振興や経済の活性化につながるとともに、「植える、育てる、使う、植える」という森林資源の循環を産み出し、適切な森林整備を通じて地球温暖化の防止及び循環型社会の形成にも大きく貢献するものである。
 しかし、本県の林業及び木材産業を取り巻く環境は、木材価格の長期低迷等に伴う森林所有者の経営意欲の低下や高齢化等による林業従事者の減少などにより厳しい状況が続いており、手入れが行き届かず、多面的機能を十分に発揮できない森林の増加が懸念されていた。このため、県では、森林の有する水源涵かん養、県土保全等の公益的機能の維持増進を図り、良好な森林環境を次世代に引き継いでいくため、平成18年度にいわての森林づくり県民税を導入し、森林環境の保全に努めてきた。その一方で、本県の森林資源が本格的な利用期を迎える中、機械化の進展等による素材生産量の増加、大型木材加工施設の稼働等による県産木材の需要拡大など林業の成長産業化に向けて、明るい兆しが見られるところである。
 こうした状況の中、木材利用を促進し本県の林業及び木材産業を発展させていくためには、地域の森林経営を担う経営体を育成し、豊富な森林資源を生かした生産性と市場性の高い木材産地を形成するとともに、林業及び木材産業の振興を図り、岩手ならではの施策を展開していくことが必要である。
 ここに私たちは、本県の豊かな森林資源の重要性を認識するとともに、森林がもたらす多くの恩恵をよりよい形で次の世代に引き継ぐため、行政、森林所有者、関係事業者、関係団体、県民等が協働し、一体となって、県産木材等の幅広い利用を積極的に進めることを決意し、この条例を制定する。

 第1章 総則
 (目的)
第1条 この条例は、県産木材等の利用の促進に関し、基本理念及びこれに基づく施策の基本となる事項を定め、並びに県の責務等を明らかにするとともに、県民参加の下、県産木材等の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって森林の有する多面的機能の持続的な発揮並びに林業及び木材産業の健全な発展による本県の経済の活性化並びに県民の豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする。

 (定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1)県産木材県内で生産された木材をいう。
 (2)県産木材製品木材を原料として県内で加工された木材製品をいう。
 (3)県産木材等県産木材及び県産木材製品をいう。
 (4)森林の有する多面的機能県土の保全、土砂災害の防止、水源の涵養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能をいう。
 (5)森林所有者森林法(昭和26年法律第249号)第2条第2項に規定する森林所有者をいう。
 (6)林業事業者森林施業(造林、保育、伐採その他の森林における施業をいう。以下同じ。)を行う者をいう。
 (7)木材産業事業者木材の加工又は流通の事業を行う者をいう。
 (8)建築関係事業者建築物の設計又は施工の事業を行う者をいう。

 (基本理念)
第3条 県産木材等の利用の促進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
 (1)本県の豊かな森林資源が枯渇することなく次の世代に継承され、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう行われること。
 (2)木材が二酸化炭素の貯蔵機能を有し、再使用、再利用又は再生産が可能な環境への負荷の少ない資源であることに鑑み、県民の快適な生活環境の形成、地球温暖化の防止及び循環型社会の形成に資するよう行われること。
 (3)林業及び木材産業の健全な発展が本県の経済の活性化につながることに鑑み、県産木材等の経済的価値の向上が図られるよう行われること。
 (4)県民一人一人が森林と人のかかわりについて主体的に考え、積極的に県産木材等を利用することが県民の豊かな暮らしの実現につながることに鑑み、県民の意識の高揚と自発的な取組を促進するよう行われること。

 (県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、県産木材等の利用に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
2 県は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者その他の事業者及び県民との協働に努めるとともに、国、市町村、大学等と連携を図るよう努めるものとする。
3 県は、国に対して、林業及び木材産業の振興に関する施策の提言を積極的に行うものとする。

 (市町村に対する支援)
第5条 県は、市町村が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策を支援するため、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (森林所有者の役割)
第6条 森林所有者は、基本理念にのっとり、森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう、その所有する森林の適切な整備及び保全に積極的に努めるとともに、県が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (林業事業者の役割)
第7条 林業事業者は、基本理念にのっとり、森林の適切な整備及び保全、林業の振興、人材の育成並びに県産木材の安定供給に積極的に努めるとともに、県が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (木材産業事業者の役割)
第8条 木材産業事業者は、基本理念にのっとり、県産木材の有効利用及び県産木材製品の安定供給の推進、人材の育成、県産木材等の新たな用途の開発その他の木材産業の振興に積極的に努めるとともに、県が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (建築関係事業者の役割)
第9条 建築関係事業者は、基本理念にのっとり、自らの事業活動を通じて県産木材等に係る知識の習得、県産木材製品の利用及び普及、木造建築技術の継承及び一層の向上並びに人材の育成に積極的に努めるとともに、県が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 (県民等の役割)
第10条 県民(第2条第5号に規定する者を除く。)及び事業者(第2条第6号から第8号までに規定する者を除く。)(以下「県民等」という。)は、基本理念にのっとり、県産木材等を利用する意義及び重要性について理解を深め、日常生活及び事業活動を通じて県産木材等の利用に積極的に努めるとともに、県が実施する県産木材等の利用の促進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

 第2章 主要な施策
 (県産木材等の利用の促進に関する計画)
第11条 知事は、県産木材等の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、県産木材等の利用の促進に関する計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。
2 計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 (1)県産木材等の利用の促進に関する施策に関する基本的事項
 (2)県産木材等の利用の目標
 (3)県産木材等の適切な供給の確保に関する基本的事項
 (4)その他県産木材等の利用の促進に関し必要な事項
3 知事は、計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、市町村長に通知しなければならない。

 (県産木材の安定供給の促進等)
第12条 県は、県産木材の安定供給の促進及び生産性の向上を図るため、次に掲げる事項について必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (1)森林資源の利用及び再生産を図るための森林の整備に関すること。
 (2)林内路網等の県産木材の生産に係る基盤の整備及び森林施業の効率化に関すること。
 (3)県産木材の流通及び加工の体制整備に関すること。

 (県産木材等の利用の促進)
第13条 県は、県産木材等の利用の促進を図るため、次に掲げる事項について必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 (1)住宅その他の建築物及び土木施設その他の工作物(以下「建築物等」という。)における県産木材等の利用に関すること。
 (2)建築物等の工事における県産木材等の利用に関すること。
 (3)エネルギー源としての利用等の県産木材等の有効利用に関すること。
 (4)県産木材等のブランド化(県産木材等に対して信頼感等を与える独自の印象を創出することをいう。)及び県産木材等の認証に関すること。
 (5)県産木材等の新たな用途、加工技術等の研究開発に関すること。
 (6)県産木材等の国内外への販路の拡大に関すること。

 (県の建築物等における県産木材等の率先利用)
第14条 県は、県産木材等の利用の促進に資するため、自ら整備する建築物等において、率先して県産木材等の利用に努めるものとする。

 (人材の確保及び育成)
第15条 県は、林業又は木材産業を担う人材を確保し、及び育成するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、県産木材製品を利用した建築物を建築するために必要な知識又は技術を有する設計者等を確保し、及び育成するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (普及啓発)
第16条 県は、県民が木に親しみ、ふれあい、並びに木材を利用する意義及び木の文化を学ぶ機会の確保、県産木材等に関する情報の発信その他の県産木材等の利用の促進に関する普及啓発に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、児童又は生徒が、森林、林業及び県産木材等についての理解を深めるために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (県産木材等利用推進月間)
第17条 県は、県民の間に広く県産木材等についての関心及び理解を深めるとともに、積極的に県産木材等を利用する意欲を高めるため、県産木材等利用推進月間を設ける。
2 県産木材等利用推進月間は、10月とする。

 第3章 施策の推進
 (推進体制の整備)
第18条 県は、県産木材等の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者及び県民等が相互に協力することができる体制の整備に努めるものとする。

 (施策の実施状況の公表)
第19条 知事は、毎年度、県産木材等の利用の促進に関する施策の実施状況を公表するものとする。

 (財政上の措置)
第20条 県は、県産木材等の利用の促進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

  附則
 この条例は、平成31年4月1日から施行する。

 理由
 県産木材等の利用の促進に関し、基本理念及びこれに基づく施策の基本となる事項を定め、並びに県の責務等を明らかにするとともに、県民参加の下、県産木材等の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって森林の有する多面的機能の持続的な発揮並びに林業及び木材産業の健全な発展による本県の経済の活性化並びに県民の豊かな暮らしの実現に寄与しようとするものである。これが、この条例案を提出する理由である。

議員別の賛否の状況

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