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変異型ヤコブ病発生と米国牛輸入再開に向けたBSE安全検査の徹底を求める請願

53 変異型ヤコブ病発生と米国牛輸入再開に向けたBSE安全検査の徹底を求める請願

受理番号
53
受理年月日
平成17年3月11日
付託委員会
環境福祉委員会
委員会付託日
審査結果
委員会審査日
継続審査状況
議決結果
意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
議決年月日
平成17年3月24日
措置
送付
備考

内容

受理番号:53
 変異型ヤコブ病発生と米国牛輸入再開に向けたBSE安全検査の徹底を求める請願

 2月11日、日本で初めてBSEを原因とする変異型ヤコブ病患者の死亡が明らかにされ、衝撃が走った。
 私たちは、また、国産牛肉への信頼が崩れるのではないかと生産県の消費者として心配し、罹患したら悲惨な状態で死に至る変異型ヤコブ病は絶対避けたいと、とても心が痛んだ。
 その後、その患者の方は、BSE最盛期のイギリスに1ヶ月滞在したことが発表され、そのときの罹患が有力になってひとまずほっとした。
 滞在期間が短期間であることや、感染経路に謎が多く、国内感染も否定できないことも報道された。このときほど、日本の万全な全頭検査を信頼し、誇らしく思ったことはない。
 しかし、内閣府食品安全委員会は、20ヶ月以下牛を検査対象から外すとする全頭検査緩和の方向性を発表した。それに伴って、全国でリスクコミュニケーションを開催したところ、全頭検査継続の要望が多かったことと、県レベルの検査継続表明が相次いだため、3年間は各自治体の独自検査に助成することを決めた。
 これには、県民の願いにいち早く応え、県独自の検査継続を決めた生産県岩手の表明も大きな力になった。
 実質的には、国内の全頭検査の継続は担保されたが、国の責任としての継続ではなく、自治体の追認になっている上、3年の期限付きである。
 変異型ヤコブ病の潜伏期間は長く、今回のヤコブ病の患者も1989年にイギリスに1ヶ月滞在し、2004年にヤコブ病と診断され、2005年死亡後BSEを由来とする変異型ヤコブ病と診断されるまで15年かかった。イギリスでは潜伏期間が最大で30年の例も報告されている。
 非常に稀ではあっても、BSEは人に感染し変異型ヤコブ病を引き起こすだけではなく、その患者からの輸血、外科手術、内視鏡などを介して、人から人への伝播リスクもかかえていること、日本人の93%は変異型ヤコブ病にかかりやすい遺伝子を持っているとの厚労省の研究発表もあることなども考えると、BSE対策は他の食品の安全リスクとは違った側面を持っている。また、危険部位除去をしても数%のリスクも発表されており、国民の安全と健康のためには、現在の全頭検査と危険部位除去の二重安全対策は続けるべきと考え、今審議中の内閣府食品安全委員会に全頭検査継続の意見書の提出を請願する。
 また、今回の全頭検査緩和の表明は、大半が20ヶ月以下のアメリカからの牛肉輸入再開の布石と見られた。
 昨年末、アメリカでもBSEの牛が見つかったが、検査体制が大きく違い、私たちは不安になった。アメリカは群れ管理が多く、牛一頭一頭の産地や月齢の証明は難しい上、検査頭数も少なく、よろけている牛が検査から漏れる事例も報告されている。
 しかし、国は、日本で変異型ヤコブ病の患者の死が発表されたこの時期に、米国式格付けによる成熟度判別を追認し、肉質による判別で21ヶ月齢以上がわかると発表した。専門家からは、骨や肉質で正確な月齢は判定できないと反論も出ている。この方法を認めたアメリカ牛の輸入再開は心配である。
 さらにおかしいのは、BSEの国内対策の変更について、食品安全委員会で審議中であるのに、変更を前提として、日米交渉が進められていることである。
 今回発表された安全検査では、アメリカからの牛肉の輸入再開は、消費者として納得することができない。
 私たちは、これまで安全で安心して食べられる食料を求めて活動し、事業も行ってきた。食料は地域でとれたものを食べる地産地消が安心であり、安全への近道と運動を続けている。また、食の安全を求める県の政策もこれからが本番である。
 私たちは、これまでの運動に基づき、消費者として安心できる牛肉を求めて、岩手県議会に次のことを請願する。

1 私たちは、安心して食べられる牛肉を望んでいる。BSEは、そのメカニズムがまだよく解明されていない上、由来の変異型ヤコブ病の心配も出てきた今、全頭検査を継続し、危険部位除去との二重安全対策による安全・安心の確保を望む。
 今審議中の国の食品安全委員会に対し、国の責任で全頭検査が継続されるよう意見書を提出されたい。

2 私たちは、食の安全が政治の道具にされ、きちんとした安全の検証がないままのアメリカ牛の輸入再開には反対である。個別管理のないアメリカで肉質による識別には無理があると思う。安易な政治的決着をしないよう、牛肉の生産県の議会として、米国式格付けによる輸入再開を進めないよう国に意見書を提出されたい。

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