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三陸の海を放射能から守ることについて請願

68 三陸の海を放射能から守ることについて請願

受理番号
68
受理年月日
平成17年9月27日
付託委員会
環境福祉委員会
委員会付託日
審査結果
委員会審査日
継続審査状況
議決結果
採択
議決年月日
平成17年10月3日
措置
送付
備考

内容

受理番号:68
 三陸の海を放射能から守ることについて請願

 三陸の海を放射能から守るため、下記事項について請願する。

1 県は、青森県並びに日本原燃株式会社に対し、岩手県民、特に三陸沿岸漁業に携る県民への説明を求め、使用済み核燃料による再処理工場のアクティブ試験操業について、慎重を期するように申し入れること。
2 県は、青森県並びに日本原燃株式会社に対し、三陸沿岸の漁場や海水浴場など、三陸沿岸海域全般の核燃料再処理工場による環境影響評価を行うように申し入れること。

(理由)
 今、試験運転中の六ヶ所核燃料再処理工場は、使用済み核燃料を用いるアクティブ試験を始めると、海洋沖合3キロメートル、水深44メートルの放出口から放射性廃液を排出することになる。私たちはこのことについて大きな危機感を抱き、以前からこの問題を指摘していた水口憲哉東京海洋大学名誉教授を招き、今年5月に講演会を開いた。水口教授は、再処理工場が本格的に稼働をはじめ、日常的に放射性廃液を流し続けるならば、今世紀最大の海洋汚染になると語り、迫りつつある深刻な危機として警鐘を鳴らされた。この未曾有の海洋汚染などを懸念し、国内ばかりか、海外からも稼働凍結の声が高まっている。
 放出された放射能は、下北沖から海流と共に南下する。豊かで美しい三陸の海を汚染させることは容易に想像でき、海産物に多大な影響を及ぼし、特に養殖漁業への甚大な被害が心配される。
 海外ではイギリス、フランスに再処理工場があるが、その汚染実態は想像を絶し、はるか北海にまで広がり、魚介類の汚染が問題になっている。また、これらの工場周辺では、がんや特に子供たちに白血病が多く発症している。このため、ヨーロッパでは工場の稼働中止を求める声が大きくなり、OSPAR条約(オスロ・パリ条約)で北東大西洋に面する15カ国と欧州連合は、再処理停止と使用済み核燃料の乾式貯蔵を決議している。こうした中、イギリスの再処理工場では4月に配管が破断し、核燃料を溶かした溶液が大量に漏えいする重大事故が発生し、強い放射線のため漏えい溶液の回収方法も決まらず、運転再開の目途が立たないまま閉鎖も検討されている模様である。
 私たちはこのような実態を踏まえ、今年6月に日本原燃株式会社に対し海産物への影響調査についてなど、再処理工場にまつわる私たちの疑問を公開質問状として提出し、8月に回答を得た。しかし疑問の多くは解消されず、さらなる疑問点も生まれている。私たちが講演会などで学んだ内容に照らし合わせると、日本原燃株式会社の言い分をそのままうのみにする訳にはいかない。また、日本原燃株式会社の担当者は、岩手県の海産物を調査測定する予定はない、岩手県民に説明する予定もないと語り、岩手県のことは全く眼中にないようであった。
 今、三陸沿岸の漁業に携っている県民の多くは、水口教授の警鐘に呼応し、講演会を開くなどして再処理工場について学び、三陸の海を放射能から守ろうと運動を始めた。漁業協同組合も足並みを揃えようとしている。このように再処理工場から受ける影響を重く見て、先達が守り育ててきた豊かで美しい三陸の海と、三陸だからこそできるすばらしい養殖漁業を守ろうとしている多くの県民がいることを見過ごしてはならない。折しも9月17日付け岩手日報は、今年1月に発覚した設計ミスにより、最終試験が遅れると青森県幹部が示したと報道している。安全審査を終えたはずなのに、このような時期に設計ミスが発覚するというずさんな管理体制で大丈夫なのか。原発と比べて桁違いに大量の放射能を排出するこの再処理工場が、本当に安全なのか。本当に影響はないのか。慎重に見極めなければならないと考えている。

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