10 BSE全頭検査の継続を求める請願
平成19年10月5日
環境福祉委員会
議決日:平成19年10月24日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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私たちは、安心して食べたいとの思いから、国内のBSE全頭検査の継続と、アメリカ産牛肉の輸入再開にあたっては、日本と同等の安全性の確保を行うべきであり、それができなければ輸入再開はすべきではないと要請行動をしてきた。
しかし、今年5月、厚生労働省は、20カ月齢以下の牛のBSE検査に対する全額補助を来年7月末で打ち切る方針を決めた。
2001年に国内でBSEが発生してから現在まで33頭の発症事例が確認されている。
しかし、国内の感染源と感染経路が依然として未解明なこと、また、そもそもBSE発生のメカニズムも未解明で、BSEに対する消費者や生産者の不安は解消されてはいない。また、国は、補助打ち切りの根拠として、2005年の食品安全委員会での20カ月齢以下の感染リスクは低いとの答申を上げている。
しかし、前食品安全委員会プリオン調査会委員の山内一也氏によると、委員会での原案は月齢による線引きは科学的な知見からはできないとしていたのに対し、その後、座長一任で20カ月齢以下の感染リスクは低いと追加された経過があり、その納得できる説明がなされないまま経過している。
したがって、この結論自体が正しいのかどうか未だに疑問である。また、日本では21カ月、23カ月齢の発症報告があったが、なぜ20カ月齢に近い牛に発症したかについても明らかになっておらず、20カ月齢で線引きすることが妥当かどうか、納得できない。
さらに、20カ月齢以下のBSE検査の打ち切りは、現在20カ月齢以下としているアメリカからの輸入牛肉の条件緩和につながることも懸念される。アメリカ産牛肉については、この8月にも韓国で、輸入を禁じている特定危険部位の脊椎の骨の混入が見つかり、再び輸入禁止措置がとられるなどの問題も起きている。
また、BSEの感染防止策として重要である飼料規制も、実態としてはまだ機能しておらず、アメリカ政府のBSE対策や安全管理は問題が多く、とても安心できる状況ではない。こうした中で輸入条件を緩和し輸入を増やすことは納得できないことである。
また、今回の国の全頭検査打ち切りに対して、独自に検査継続を打ち出した県もあったが、8月末に厚生労働省から、9月はじめには農林水産省から、各都道府県・政令市に一斉中止を求める通達が出されている。食の安心を求める県民の意をくんだ自治体が自主的な判断で全頭検査継続をしようとするのに対し、国がこれをやめさせようとするのは、地方自治の視点からもおかしいのではないか。
以上の理由から、私たち消費者・生産者は、BSE全頭検査の継続を強く要望し、その実現のために、以下の3点を請願する。
1 国からの補助が打ち切られても、岩手県として20カ月齢以下の牛のBSE検査を継続すること。岩手県独自に継続をしても、20カ月齢以下の牛のBSE検査にかかる費用は年間280万円である。消費者の不安にこたえる意味からも、また、岩手産の牛肉の安全性を打ち出す意味からも、継続が必要である。
2 以下の2点について、地方自治法第99条に基づき、国に意見書を提出すること。
(1) BSE全頭検査(各自治体への検査費用の補助金)を継続すること。
(2) アメリカ産牛肉の輸入条件の緩和を行わないこと。また、日本と同等のBSE検査や飼料規制を行うことをアメリカに要望すること。