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請願・陳情

詳細情報

議案名

48 県立大船渡病院附属住田地域医療センターの診療体制の維持と充実を求める請願

受理年月日

平成20年12月3日

付託委員会

環境福祉委員会

本会議議決結果

議決日:平成20年12月12日
議決結果:別記のとおり

措置

送付

備考

別記(受理番号第48号、第50号から第54号まで共通)
 今般、県医療局の県立病院等の新しい経営計画案の中で示された診療センター(住田、紫波、大迫、花泉、九戸)の病床無床化及び沼宮内病院の無床診療所化に対し、引き続き現在の診療体制の存続と地域医療の充実・強化を図ることを求める内容となっている請願の取り扱いについては、その願意を是とし、この際、新しい経営計画案については、平成21年4月実施を一時凍結し、広範な協議を継続する必要があるとの判断に至った。
 理由の第一は、当該地域、市町村との十分な協議・説明がないままの提示であり、公表後、四ヶ月余りで即実施する計画内容であるなど拙速の感は否めず、政策決定過程に問題があること。第二に、これまでの有床診療所化の対応の検証や、19病床の堅持、救急体制の確保などを求めた平成18年の議会決議に対してどのような対応がなされてきたのか、議会に対する説明責任が果たされていないこと。第三に、総務省が示した公立病院改革ガイドラインを優先し、全国に類を見ない本県における県立病院ネットワークの歴史と特質を考慮していないこと。第四に、無床化後における他の医療機関との連携による入院需要への対応、基幹病院への交通アクセスの確保が計画上担保されていないこと。第五に、本案実施後の市町村、介護福祉施設、他の医療機関との連携が示されておらず、今後の地域医療の具体的展望を欠いていることなどの点が、委員会請願審査で指摘されたところである。
 一方で、深刻な医師不足や診療科ごとの偏在、県立病院の経営不振、人口減少社会の到来など、県立病院を取り巻く環境は大きく変化しており、現在の県立病院の規模・機能を維持することが困難な状況に直面していることも事実であり、本案は今後の本県の地域医療のあり方を検討する上で極めて重要である。今後の県の政策医療の姿、財政負担のあり方、市町村など関係機関との連携、県民の意識改革など、総合的な視点でさらに踏み込んだ協議を行い、本県の地域医療の将来像を明確に示していくことが必要である。
 したがって、県においては請願採択の意を踏まえ、地域との十分な協議を行い、住民との合意形成を図りつつ、その不安の払拭に努め、県民に良質な医療を持続的に提供していくために広範な協議を継続すること。

【左の意見を付して採択】

内容

 今、私たちは県立大船渡病院附属住田地域診療センターから入院ベッドが消える危機に直面することを余儀なくされている。それは、県医療局が、県立病院等の新しい経営計画(案)を公表したことに起因する。
 これまで住田町内にある二つの個人病院は、住田地域診療センターに入院施設があるため、安心して診療できた。また、住田町内の介護老人福祉施設においても、入所者が体調不良になった場合に受け入れていただいたのが住田地域診療センターである。こうしたセンターの支援があったからこそ山間地域においても安心して暮らすことができる地域医療、地域福祉が維持形成されてきたのである。
 岩手県初の診療所は、昭和6年6月1日、当時の世田米村に開設された。名称は「岩手県世田米診療所」である。村民の生命と健康を守る医療施設がこの地域には必要だという強い信念が、診療所設置の要望運動を推し進め、診療所施設・設備費の寄附を願い出、診療所が開設されたのである。
 診療所開設から77年が経った。県立住田病院から住田地域診療センターと呼び名は変っても、生命の尊厳・尊重を実践していこうとする地域住民の願いが脈々と受け継がれている。
 県民の健康・医療を保障することは県の責務である。県民である地域住民の健康を保持し、増進を図ることが、潤いと活力のある地域社会の構築に直結し、県民の幸せとなるのである。
 それゆえに、私たちは、住田町において唯一入院施設を有する県立大船渡病院附属住田地域診療センター無床化計画(案)の撤回を求め、現行の診療機能、入院機能が維持、充実されるよう請願するものである。

(理由)
 県医療局は、「県下にあまねく良質な医療の均てんを」−より信頼され、愛される病院づくり−を基本理念とする、岩手県立病院等の新しい経営計画(案)を公表した。そこに貫かれているテーマは、より効率的な運用方法である。
 私たちは、地域医療を、病気という状態を癒すだけでなく、生命の尊厳を含めた広い意味での健康を地域社会全体で守っていこうとするものと理解している。地域医療は、そこに住む人々の弛まぬ努力と日々の営為が集積し築かれてきたものである。そこにこそ、各人が平等に利益を受けることができる“均てん”の姿がある。新しい経営計画に改めてうたわれるまでもなく、これまでの地域医療の中に、より信頼され、愛される病院づくりが息づいている。
 地域に生きる人々の存在を視野に納め、生命の尊厳・尊重が貫かれていない計画は、どんなに美辞麗句がちりばめられていようとも、地域医療の充実を体現する施策とは到底思えない。やせ細っていく病人の前に一人強く丈夫になっていく病院、そんな計画をイメージする。明らかに目的と手段が食い違っているのである。県内の団体から、経営重視、採算最優先という声が聞かれるのもこうしたことを裏打ちしている。
 私たちは、これまで築いてきた地域医療、地域福祉を瓦解させかねない住田地域診療センターの無床化に断固反対し、この診療センターの維持と充実について切望するものである。
 以上の理由から、次の3項目を請願する。

(請願項目)
1 岩手県立病院等の新しい経営計画(案)において方針とした無床診療所化を撤回すること。
2 常勤医師3名体制による診療体制とし、訪問診療・訪問看護サービスを継続すること。
3 地域住民の生命を守るため、初期救急体制を維持すること。

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