80 学童保育(放課後児童健全育成事業)の施策拡充に関する請願
平成22年3月1日
環境福祉委員会
議決日:平成22年3月24日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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日頃より学童保育に対し、温かい御配慮と御協力をいただき感謝申し上げる。
少子化対策の必要性が叫ばれ、次世代育成支援事業行動計画は策定されたが、仕事と子育ての両立を支援する社会環境整備が大きな課題となっており、新政権の連立合意でも、学童保育についても拡充を図るとしているとおり、学童保育の施策拡充はその重要な一部である。
また、障がい児を受け入れている学童保育では、受け入れの加算額が、複数の障がい児を受け入れても指導員1人分にも満たない額であり、指導員の確保も厳しい状況にある。
学童保育は、県内に253カ所(全国学童保育連絡協議会2009年5月調べ)と増えているが、小学校数に比してまだ6割程度である。必要とする児童のために1小学校区に最低一つの学童保育は不可欠である。
以上のことから、必要とする子どもたちが全て入れるように、学童保育の施策を拡充するため、引き続き国に対して強く要望するとともに、県においても学童保育の充実に向けて実態に即した改善を図られるよう請願する。
(請願事項)
1 学童保育(放課後児童健全育成事業)の拡充を国に働きかけること。
(1) 市町村の実施責任を明確にして、安定性、継続性を保障する制度とすること
ア 国及び地方自治体の公的責任を明確にし、学童保育の最低基準を定め、財政措置が法的に明確になるよう、児童福祉法及び関係令を改正すること。その際、現在の児童福祉事業(第6条の2)としての位置づけを見直し、児童福祉施設(第7条)に位置づけることを要望する。
イ 市町村の実施責任を明確にし、利用の促進の努力義務ではなく、必要としている児童が入所できるよう条件整備を図ることを義務づける制度を要望する。実施形態を問わず、必要とする子ども全てが入所でき、安全で安心して生活できるように、国及び自治体が責任を持って学童保育を保障する仕組みを要望する。定期的に指定先を見直す指定管理者制度の導入や倒産、閉鎖の危険性がある民間企業の参入など、事業の安定性、継続性が確保できないような制度にはしないよう要望する。
ウ 国の補助金は現在の奨励的な補助ではなく、財政保障の強化を図ることを要望する。市町村に条件整備を義務づけることとあわせて、将来的には国として市町村に対する国庫負担金となる制度を要望する。
エ 国の補助方式は、運営が不安定になる利用者に対する個別補助(個人給付)にしないよう要望する。
オ 学童保育の対象児童を現行規定の「おおむね10歳未満」から「学童保育を必要とする小学生」とするよう要望する。
(2) 学童保育の質の確保のために最低基準を定めること
ア 国が最低基準を定め、どの学童保育でも質の確保と向上が図られる制度を要望する。
イ 最低基準を定めることにより、現在の学童保育が切り捨てられるのではなく、底上げされて質的な拡充が図られるようにすることを要望する。
ウ 質の確保のために、学童保育の保育方針の策定を要望する。
(3) 施設や人材の確保のために財政措置と公的資格制度を創設すること
ア 学童保育の施設は、生活の場にふさわしく、適正規模の設置基準を定め、また、学童保育の専用施設の設置を基本として、児童館や余裕教室、その他の公共施設など地域の社会資源を活用して施設を確保できる制度を要望する。
イ 指導員の確保のためには、人数配置・勤務体制・勤務時間・待遇の抜本的改善が必要である。地域ボランティア、定年退職者などの活用ではなく、専任・常勤の指導員が常時複数配置できるよう、指導員にかかわる配置基準を定め、常勤配置ができる財政措置を伴った制度を要望する。
ウ 指導員を継続的・安定的に確保できるよう、指導員の公的資格制度の創設と養成機関の設置を要望する。
(4) 放課後子ども教室等との一体的経営をやめること
学童保育と放課後子ども教室推進事業又は全児童対策事業は、法的根拠が異なり、それぞれに目的、役割や内容も異なる。二つの事業を同じ場所で同じ職員で行う一体的な運営は、学童保育の廃止を意味する。一体的な運営を行う事業を制度として位置づけるのではなく、それぞれ独自の事業として拡充させて連携していくことを要望する。
2 障がい児を受け入れるクラブに対しては、よりきめ細やかな対応ができるように、適切な数の指導員を確保できるような加配措置を講じること。