86 30人以下学級実現、教員賃金改善、義務教育費国庫負担制度拡充を求める請願
平成22年6月28日
商工文教委員会
議決日:平成22年7月5日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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子どもたちに豊かな教育を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことから、教育は未来への先行投資であることが多くの国民の共通認識となっている。
日本は、OECD諸国に比べて、1学級当たりの児童生徒数や教員1人当たりの児童生徒数が多くなっている。
日本の小中学校で、31人以上の学級に在籍する児童生徒の割合は、文部科学省調査によれば小学校54%、中学校82%となっている。子どもたちは、様々な価値観や個性、ニーズを持っており、小1プロブレム、中1ギャップへの対応も必要となっている。一人ひとりの子どもに丁寧な対応を行うためには、一クラスの学級規模を引き下げる必要がある。保護者へのアンケートによると、保護者が思う適正な一クラスの児童生徒数は、30人:45.4%、25人:20.5%、20人:16.0%、35人:8.4%の順となっている(日本の教育を考える10人委員会、2007年保護者アンケート)。
このように、保護者も30人以下学級を望んでいることは明らかであり、国民の願いである。OECD諸国並みの教育環境を整備するために、標準定数法を改正し、国の財政負担と責任で学級編制を30人以下とすべきである。
子どもたちが全国どこに住んでいても、機会均等に一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請である。これを担保し、教育水準の維持向上を図ることを目的とした人材確保法がある。これは、教育は人であることから、教育職員に人材を確保するために、一般公務員の給与水準に比較して教育職員の給与が優遇されなければならないことを規定しているものである。
しかし、この法律の趣旨や理念が必ずしも担保されていない事態が現れている。「骨太の方針2006」で一般公務員とは別に教員賃金を特出しした縮減を図ることが盛り込まれた。こうした影響から、一般行政職給与との実質的な教員給与の優遇は、人材確保法成立後の1980年に7.42%であったものが、2011年1月から、約1%にまで縮減することになる。さらに、教員と一般行政職との給与を超過勤務時間も含めた1時間当たりの給与額で比較した場合、教員給与は一般行政職給与よりも逆に13ポイント下回っている。教員の大量採用時代を迎え、人材確保に支障が懸念される。
教育予算について、GDPに占める教育費の割合は、OECD諸国の中で日本はトルコについで下位から2番目となっている(GDPに占める教育費の割合:OECD平均4.9%、日本3.3%。OECDインディケーター2009年版)。また、三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の国負担割合は2分の1から3分の1に引き下げられ、自治体財政を圧迫している。
将来を担う子どもたちへの教育は極めて重要である。子どもたちが全国どこに住んでいても教育の機会均等が担保され、教育水準が維持向上されるように施策を講じる必要がある。こうした観点から、2011年度政府の概算要求に向けて下記事項の実現について地方自治法第99条の規定に基づき国の関係機関へ意見書を提出するよう請願する。
(請願事項)
1 昨年行われた総選挙の際の各党のマニフェストや政策集に位置づけている、少人数学級を推進すること。また、具体的学級規模は、OECD諸国並みの豊かな教育環境を整備するため、30人以下学級とすること。
2 教育職員の人材を確保するための給与改善を行うことし、当面、定数改善や超過勤務縮減策を行ったとしても残る超過勤務分に見合う給与措置を行うこと。
3 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、義務教育費国庫負担制度の 堅持とともに国負担割合を2分の1に復元すること。