101 米価の下落に歯止めをかけ、再生産できる米価の実現を求める請願
平成22年10月4日
農林水産委員会
議決日:平成22年10月8日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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今、2010年産米が大変な価格暴落に見舞われている。全農岩手県本部が発表した2010年産米の概算金単価は、ひとめぼれ(A地区)で60キログラム当たり8,700円となる等各銘柄とも3,500円前後値下がりしている。
背景には、米の需給と価格の安定に政府が責任を持たずに過剰米が発生していることにより、米流通が深刻な停滞を来たしているという実態がある。
このような状況のもと、今年から始まった米戸別所得補償モデル事業による補てんを見越し、大手流通資本などが補償分を安く買い叩くという事態が起きている。戸別所得補償の基本部分は1俵当たり換算で1,700円程度であるが、価格が下落した際に交付される変動部分も含めれば1俵当たり約2,900円になる。この2,900円を買い叩かれることが懸念されていたが、全国的に、これを上回る規模で米価の大暴落が起きている。
このように、所得を補償するだけでは農家の経営を守ることができないのは明らかである。需給に責任を持ち、価格を守る政策を基本に据えることが求められる。当面、政府が備蓄米の買い入れを緊急に行い、米のだぶつきを解消する以外に、今の米価暴落を解決することはできない。
政府は現在、目標とする水準の100万トンを備蓄米として確保している。しかし、2009年2月にルールを無視して集荷円滑化対策米として買い入れた10万トンと、備蓄米のうち超古米となっている2005年産米などの19万トンは主食に適するものではない。これらを主食用以外に処理すると、約30万トン相当の備蓄米が不足となる。これらの古米をはじめとした備蓄米の適正な処理を行い、農協系統もこの間に主張しているように過剰分とされる40万トンの備蓄米買い入れを行うことが求められている。また、この間に政府は、60キログラム当たり12,000円台という超安値で備蓄米を買い入れているが、これは市場価格の暴落を加速するものである。買い入れに当たっては、生産費を賄う適正な価格水準とすることが求められる。
米価の大暴落を受けて、戸別所得補償モデル事業の金額が稲作農家の関心事となっている。米価の変動に対応して交付される変動部分は、当初の予算規模からは1俵当たり1,200円前後と見込まれる。しかし、これを大幅に上回る下落が起きている以上、予算を見直して下落分を十分に補てんする額とすることが必要である。
また、基本部分は年内に支払われることとなっているが、実務上の問題で年を越すことが懸念される。肥料代、農薬代など農家の年末支払に間に合うよう、あらゆる手段を講じて年内に支払うことなしに、農家は年を越すことができない。
以下の趣旨に基づき、下記の事項について請願する。
(請願事項)
下記の事項を実現するために政府及び関係機関に意見書を提出すること。
1 米の価格保障と所得補償を、再生産を保障する水準に充実させ、政府が米の需給と価格に責任を持つこと。
2 政府備蓄米のうち主食に適さないものを主食用以外に処理し、備蓄米の緊急買い入れを適正な価格水準で行うこと。
3 戸別所得補償モデル事業の変動部分については、米価下落分を十分に補てんする額を交付すること。
4 戸別所得補償モデル事業の基本部分を、対象農家に対して年内に確実に支払うこと。