22 米国のBSEと鳥インフルエンザ発生に対し安全安心のための万全の措置を求める請願
平成16年3月10日
農林水産委員会
議決日:平成16年3月22日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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昨年12月、米国・ワシントン州でBSE感染牛が発見され、農水・厚労両省は米国からの牛肉、牛肉加工品及び生体牛の輸入を禁止した。そのことは、非発生国でも危険であることを証明した。
米国からの牛肉輸入は、日本国内流通量の3分の1を占めるまでに拡大しているため、消費者の関心や懸念も大きなものになっている。
その心配は、米国の安全対策・検査体制の甘さにある。検査対象の牛が、生後30カ月以上、BSE特有の症状がある牛の抽出検査になるため、検査率が非常に低くなっている。さらに、検査に出されたBSE感染牛が、検査結果を待たずに流通し、結果が発表された12月末には、既に消費されていた可能性があると発表した。
特定危険部位の除去と焼却も、今回のBSEの発生を受けてようやく実施されることになり、30カ月齢以上の牛の頭蓋、脳、目と全ての牛の腸と扁桃除去を発表した。しかし、米国の精肉加工場では低賃金の未熟練労働者が作業に追われる、低コスト・大量生産方式のため、その仕組みの徹底を危ぶむ声も出ていて、米国の安全・安心に関する考え方や対策のあり方への不信が払拭できない。
そして、1月初めには、感染牛とともにカナダから輸入された牛の大半が所在不明として、米農務省はBSEの調査を打ち切り、感染牛以外は安全と発表した。そして、日米の輸入対策検討が始まり、簡易検査での部分解禁が暫定措置として浮上している。
しかし、共同通信社が2月初め発表した全国電話世論調査では、米国産牛肉の輸入を解禁する条件として、およそ87%の人が全頭検査が必要と答えている。
日本では全頭検査の結果、21カ月・23カ月の若い牛のBSEが発見されるなどの成果も出ている。これは、まだ全容が解明されていないBSEの常識を覆したもので、新しいタイプのBSEの可能性も出てきている。
以上のことから、私たちは、米国に月齢を問わない全頭検査と危険部位の除去を求めるものである。
また、アジアで同時多発し、米国や山口県・大分県・京都府などで発生した鳥インフルエンザは、人間に感染した場合の致死率の高さから、さらなる恐怖になっている。
鳥インフルエンザでは、感染ルートの解明、防疫体制の確立が急がれているが、時間の経過とともに、ウイルス変異による新型インフルエンザ発生が懸念され、それが世界的な脅威になっている。そのため、今は初期の対応と封じ込めが大事になっている。
日本では、危機意識を持った感染の早期把握と届け出、関係府県の対応に問題が出ている。山口県では、封じ込めに成功したが、京都府では、モラルのない養鶏場の初期対応の遅れが災いして、高病原性鳥インフルエンザの感染鶏や卵が各地に拡散する事態になった。
初期に封じ込め、蔓延を防ぐためには、養鶏農家への早期報告の義務づけは当然だが、同時に家畜伝染病予防法によって移動禁止を受けた農家や関連事業者などへの支援の仕組みが必要になっている。安心して初期対応をするためには、義務とともに補償が大事と考え、国に対しての対策を求めるものである。
そもそも頻繁に起きる食の安全を脅かす事態と輸入が止まった場合の品不足は、食料を輸入自由化によって外国依存に変えた食料政策が根底にある。私たちは岩手でとれたもの、日本でとれた食料を大事にし利用することが、食の安全を確保する上でも、食料の自立の上でも大切と考え、地産地消の運動をし、実践している。
毅然とした食料の安全対策を求めていくことが、岩手の日本の食料生産を守っていく上でも不可欠と考え、次の事項の万全の対策を講じられるよう、貴県議会として国に対して意見書を提出されるよう請願する。
1 米国BSE問題について次の事項の万全な安全対策を求める。
(1)全頭検査を求める。
日本において、昨年10月に生後23カ月の牛が、そして11月に生後21カ月の牛がBSEに感染していることが確認されている。BSEにはまだ未解明の点も多く、食用の牛の安全性に万全を期すため全頭検査が必要である。
(2)特定危険部位の除去についても、月齢で区別することなく、30カ月齢以下の牛についても全ての特定危険部位の除去を求める。
(3)上記のことが実施されるまで、米国からの牛肉等の輸入はやめるよう求める。
2 鳥インフルエンザ問題について次の事項の万全な安全対策を求める。
(1)引き続き、アジア・アメリカを初め、感染国からの鳥肉等の輸入は、鳥インフルエンザウイルスの発生の危険がなくなるまでやめるよう求める。
(2)養鶏業者等に通報届け出義務を課すとともに、移動禁止が出た場合の、生産者や関連企業への損失補償を国の責任で行うよう求める。
(3)国として感染ルートの解明を急ぐとともに、予防ワクチン(人)などの研究開発に必要な体制を万全にとるよう求める。