32 岩手県・国土を六ヶ所再処理工場の放射能汚染から守ることについての請願
平成24年3月8日
環境福祉委員会
議決日:平成24年7月9日
議決結果:別記のとおり
送付
別記
1 岩手県民が安心して暮らせるよう、六ヶ所再処理工場にたまっている高レベル放射性廃液の安全管理を徹底し、万が一にでも環境中に漏出させて岩手県民の生命と暮らしを脅かすことのないように、最悪の事態を想定し、その防護策を講じるよう、事業者並びに関係機関に働きかけること。
2 岩手県民の安全を確保するため、原発から生ずる使用済み核燃料の再処理を凍結し、使用済み核燃料はそのまま永久貯蔵する直接処分の研究を推し進めるよう、関係機関に働きかけること。
【1は、意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択】
【2は不採択】
(請願事項)
1 岩手県民が安心して暮らせるよう、六ヶ所再処理工場にたまっている高レベル放射性廃液の安全管理を徹底し、万が一にでも環境中に漏出させて岩手県民の生命と暮らしを脅かすことのないように、最悪の事態を想定し、その防護策を講じるよう、事業者並びに関係機関に働きかけること。
(請願趣旨)
平成18年3月31日に六ヶ所再処理工場でアクティブ試験が開始されてから、6年になろうとしている。この間、425トンの使用済み核燃料がせん断され、プルトニウムが抽出されるとともに、核分裂生成物が濃縮された非常に危険な高レベル放射性廃液が大量に発生し貯槽にためられたままとなっている。この廃液は、含まれる放射能の自己崩壊熱のため絶えず冷却しなければ沸騰し、放射能が環境に漏れ出す恐れがある。そのあまりの危険性のためガラス固化し、数万年生活環境から隔離することになっているが、そのガラス固化がうまくいっていない。高レベル放射性廃液は、冷却機能が喪失すると約24時間で沸騰すると日本原燃(株)が報告している。六ヶ所の高レベル廃液には、福島原発事故で大気中に放出された約58倍のセシウム137が含まれている。地震による電源喪失、冷却パイプの破断等により冷却できなくなれば、沸騰・環境放出により、東京電力福島第一原子力発電所事故を超える惨事が当地で現実になる恐れがある。
ガラス固化しなければならないほど危険な廃液が、地震対策不十分なまま隣県に大量に存在していることに加え、日本は世界一の地震国である。もし直下型大地震が襲来しても、高レベル放射性物質が決して環境中に漏れ出すことのないよう、最悪の事態になっても放射能が環境へ放出されることのないように防護策を講じるように関係機関に申し入れることを求める。
再処理工場は原発と異なり放出廃液の法規制がなく、放射能を放出することを前提に試験操業されている。本格操業になると南下する海流により三陸の海の汚染は必至である。1983年に英国再処理工場では誤操作で高レベル廃液が海洋へ放出され、海岸が閉鎖され海藻を食べられなくなる事故があった。地震による事故の可能性については、変動地形学者たちが工場直下の活段層の存在と、最大でマグニチュード8級の大地震の可能性を指摘し、再処理工場の損壊に警鐘を鳴らしている。しかし、日本原燃(株)は直下活断層の存在を否定し、直下地震についてはマグニチュード6.5までの評価しか実施していない。
また、建設費は当初の7,000億円から2兆2,000億円になしくずしに上がった。今後40年の操業で19兆円が見積もられているが、未だにガラス固化技術の欠陥により本格操業の見通しが立っておらず、更なる費用の上乗せは必至である。今年1月になって、3年余り中断していたガラス固化試験を再開したものの、数日でガラスの流下に問題が生じ、またも試験の中断を強いられたままである。建設から試験まで全くの無駄遣いと言え、政権与党である民主党の原子力バックエンド問題勉強会(会長・馬淵澄夫元国土交通相)も核燃サイクル事業の凍結を求めている。あわせて、国の原子力委員会では開催中の新しい原子力大綱策定会議で、使用済み核燃料をそのまま埋め立てる直接処分の研究推進が事務局から提案されている。
人々がこの地で未来永劫安心して暮らせることを願っている。