48 津波被災者の生活再建の早期充実を求める請願
平成24年10月4日
総務委員会
議決日:平成24年10月12日
議決結果:採択
送付
(請願趣旨)
東日本大震災から1年半、県内4万人の被災者は今も仮設住宅での生活を余儀なくされているものの、被災地は仮設店舗が増え、日常の不便さはかなり解消されてきた。
しかし、がれき処理は可燃が2割強、混合不燃物が1割強と遅れが目立ち、がれきの山は被災地の情景と被災者の心を重くしている。
雇用は、適当な仕事がない、求人を出しても人が集まらず人手不足とミスマッチが起こり、状況は改善されていない。その原因の一つに、居住地の近くにあった水産加工業等の事業再開の遅れがある。事業再開の足かせになっているのが二重ローンと設備費等の資金不足である。二重ローンの救済のため、被災5県に産業復興機構が設置され、復興庁の東日本大震災事業者再生支援機構が活動を開始して債権の買取りを進めているが、両機構を合わせても5県で50件足らずと不調が続いている。その一因として、金融機関が損失計上を嫌って、機構への債権売却を渋ることがあるとされている。一方の設備復旧費は、必要金額の4分の3を補助するグループ補助金に期待が広がり、基準緩和や受け皿として岩手県の予算拡大措置はあったものの、国の予算が厳しく、申請全体の半分しか採択されていない。
岩手県の事業者支援、中小企業被災資産復旧事業費補助は、条件が仮設ではなく本設のため、土地問題等もあって事業再開が遅れ、長いスパンでの補助制度が望まれている。
住宅再建はさらに厳しく、高台移転や防災集団移転促進事業の決着が遅れていることと、自己資金不足のため災害公営住宅入居を望む人が増えている。住宅再建を望む人も土地の確保や資金繰りで難儀が続き、生活再建への道は厳しくなっている。
消費者行政の充実を求めるネットワークいわてでは、被災者の抱える債務が生活再建の足かせになるとして、個人債務者の私的整理ガイドライン(被災ローン減免制度)の利用等を進めるため、仮設で今使える支援制度説明会を、弁護士を講師に行っている。仮設100カ所で終わり、震災関連死の掘り起こしや、相続の手続きの相談等は進んだが、肝心の被災ローンの減免申請は低調である。その一因は、被災地の金融機関が被災ローン減免制度を周知徹底せず、返済条件変更(返済期間を長くする等)に誘導し、制度については知らせていなかったことにある。もっと早く教えてほしかったと嘆く被災者も多くいる。金融庁の促進通達が出て、少しは進んだものの、さらに公的に推し進めるために日弁連は、@徹底した広報、A被災地金融機関による周知活動、B被災自治体の積極的な関与が必要と訴えている。被災ローン減免制度がなかった阪神・淡路大震災の被災者は、死ぬまでローンの支払いに苦しめられたと言っている。せっかく助かった命を全うするためにも、生活再建を力強く進めるためにも、被災者のローンの減免は必至である。
以上の趣旨に基づき、次の事項について請願する。
(請願事項)
1 個人債務者の私的整理ガイドライン(被災ローン減免制度)を知らせるために、県・市町村の広報活動を強め、特に金融機関に広報物で周知徹底を図るよう強力に要請すること。
2 岩手産業復興機構や東日本大震災事業者再生支援機構は被災事業者の要望に応えて、事業ローンの買取りを積極的に進めるよう求め、国に強く働きかけること。
3 震災で被災した中小企業の施設や設備の復旧と整備を支援するグループ補助金は、被災事業者の要望に応える規模に拡充し、早期の実施と事業の継続を図るよう国に求めること。
4 岩手県は、中小企業被災資産復旧事業費補助制度を単年度事業ではなく事業 期間を延長し、特に生業の再建支援に力を注ぎ、事業再開への援助を進めること。
※項目2、3及び4は商工文教委員会に付託