56 B型肝炎・C型肝炎患者の救済を求める請願
平成24年10月5日
環境福祉委員会
議決日:平成24年10月12日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(請願趣旨)
我が国には、B型肝炎・C型肝炎感染者、患者が350万人いると推定され、その大半は血液製剤の投与、輸血、集団予防接種や治療時の注射器の使い回しなどの医療行為による感染であり、慢性肝炎から高い確率で肝硬変、肝がんに進行する重大な病気である。患者たちは、病状の悪化と高い医療費負担、差別などに苦しめられ、毎日約120人ものB型肝炎・C型肝炎患者が肝硬変、肝がんなどで死亡している。
特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第W因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法及び特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法が成立し、薬害C型肝炎と、集団予防接種によるB型肝炎の患者、遺族に裁判を通して補償、救済されるしくみが構築された。しかしながら、カルテや検査などによる証明が必要なため、裁判で救済される患者は一握り(薬害C型肝炎の二、三千人、B型肝炎の3万人前後)である。C型肝炎患者の9割以上を占める注射器の使い回しや、輸血が原因の患者、母子感染ではないという証明ができないB型肝炎患者の大半は、裁判の対象外である。
注射器の使い回し、輸血、血液製剤などで感染させられ、同じ病、同じ被害で苦しめられているにもかかわらず、ごく一部だけが救済、補償され、大半が救済されていない現状に疑問をもっている。インターフェロン治療費の助成、肝硬変、肝がん患者への障害者手帳交付は実施されたが、肝炎治療費そのものへの助成がなく、障害者手帳の基準が厳しすぎて、死亡の一歩手前の末期患者にしか交付されないため、医療費が払えずに治療を断念せざるを得ない患者も少なくない。
B型肝炎・C型肝炎という国内最大の感染症被害を招いたことは、国に責任があり、国と地方公共団体には患者を救済する責務があると定めた肝炎対策基本法が超党派で成立し、平成22年1月に施行されている。当基本法は、国及び地方公共団体は、肝炎患者が必要に応じて適切な肝炎医療を受けることができるよう、経済的負担を軽減するために必要な施策を講ずるものとするほか、肝硬変、肝がん患者への特別な支援、肝炎予防、肝炎検査の促進、医療機関の整備などの肝炎対策に取り組むよう求めている。
注射器や輸血、薬害などによるB型肝炎・C型肝炎患者に対して、国が被害を償い、患者が安心して治療を続けられるよう、治療と生活を支える公的支援制度を確立することが一日も早く求められている。
よって、B型肝炎・C型肝炎患者を救済するため、肝炎対策基本法に基づき、次の事項について、国に意見書の提出を求める。
(請願事項)
1 肝炎対策基本法に基づき、患者救済に必要な法整備、予算化を進めB型肝炎・C型肝炎患者が適正な救済を受けることができる救済策を実施すること。
2 肝炎治療薬、検査費、入院費への助成をはじめ、肝炎治療費への公的支援制度を確立するとともに、肝硬変、肝がん患者への障害者手帳の交付基準を改善し、肝炎対策基本法が定めたB型肝炎・C型肝炎による肝硬変、肝がん患者への特別な支援策を講じること。
3 治療体制、治療環境の整備、治療薬、治療法の開発、治験の迅速化などを図ること。
4 肝炎ウイルスの未検査者、ウイルス陽性の未治療者の実態を調査し、早期発見、早期治療につなげる施策を講じるとともに、B型肝炎・C型肝炎への偏見差別の解消、薬害の根絶を図ること。
5 医原病であるB型肝炎・C型肝炎による死亡者には一時金、感染者、患者には健康管理手当、支援金を支給する法制度の確立によって、感染被害が償われ、持続的に治療を続けられる環境を整備すること。