69 TPP交渉参加の撤回を求める請願
平成25年3月19日
農林水産委員会
議決日:平成25年3月26日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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(請願趣旨)
平成25年3月15日、安倍首相は日本のTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を表明した。国民の中でTPPへの懸念が高まる中、これらの声を黙殺して交渉参加表明を強行したことを許すことはできない。
安倍首相の交渉参加表明に合わせて、政府は、日本がTPPに参加する場合の国内への経済効果の試算を発表した。そこでは、GDPが3.2兆円拡大する一方で、農林水産業の生産額は現在の7.1兆円から4.1兆円まで3兆円も減るとされている。TPPで恩恵を受けるのは、ほんの一握りの富裕層に過ぎず、多くの国民はTPPで生活を脅かされることになる。
安倍首相は、平成25年2月22日の日米首脳会談後に出した日米共同声明で、TPPでは、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になったとしているが、共同声明は、全ての物品が交渉の対象にされること、2011年11月12日にTPP首脳によって表明されたTPPの輪郭(アウトライン)において示された包括的で高い水準の協定を達成することとして、例外なき市場開放というTPPの原則を確認しており、「聖域」=「関税撤廃の例外となる農産物」が確保される保証はどこにもない。
さらに、平成25年3月7日、8日の東京新聞(中日新聞)の報道で、TPP交渉への後発参加国は、2010年までに交渉に参加した9カ国で、既に合意した条文を原則として受け入れなければならないことが明らかになった。交渉を打ち切る終結権もなく、再協議も要求できないためTPP交渉で日本に有利なルールを作るというこれまでの政府の主張は通らない。
安倍首相の交渉参加表明だけですぐに日本が交渉に正式参加することにはならず、日本のTPP交渉参加については、先発参加9カ国のうち、いまだ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドが了承していない。特にアメリカは、日本の交渉参加を了承する前提として、この間、さまざまな事項を日本に要求しており、今後もアメリカを中心に、先発参加国から次々と新たな要求が日本に突きつけられてくる恐れがある。
岩手県では、沿岸部を中心に東日本大震災からの復旧・復興に必死に取り組んでいるが、日本のTPP参加は被災地の地域経済に決定的な打撃を与え、今までの努力が水泡に帰すことになる。被災県に住む者として、これを絶対に認めるわけにはいかない。
以上の趣旨に基づき、下記の事項について請願する。
(請願事項)
下記の事項を実現するために政府及び関係機関に意見書を提出すること。
記
「環太平洋連携協定」(TPP)への交渉参加を撤回すること。