90 灯油高騰への緊急対策を求める請願
平成25年10月7日
商工文教委員会
議決日:平成25年10月11日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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(請願趣旨)
現在、灯油は1缶1,800円を超え、昨年よりも1缶200円も高い価格になっている。これから冬の需要期に向かい、北国にとって生命線とも言える灯油の高負担が、被災地や県民のくらしを圧迫するのは必至である。既に経済政策による円安の影響で食料品や光熱費が上昇、原材料や飼料、燃料の高騰が、消費者や事業者、農林漁業者を苦しめている。このままでは、くらしや経営が成り立たたない。
平均的家庭の一冬の灯油代(いわて生協の利用で平均1,000リットル)は、このままでは10万円を超える可能性があり、2008年に石油製品が暴騰した時を上回り、過去最高になる見通しである。県民が安心して暖かい冬を過ごせるように、灯油高騰に対する県の対策が緊急に必要である。ここ2年間は、私どもの願いに積極的に応えていただき、東日本大震災で被災した沿岸12市町村の約2万世帯への灯油購入補助(福祉灯油)が実施された。県の温かな対応に、本当に助かった、と感謝の声が届いてる。福祉灯油の実施主体は市町村だが、厳しい地方財政にとって、市町村自体では実施を決めかねるのが実情である。県には、2007年度に全市町村で福祉灯油を実施した実績がある。今年度は、過去最高の灯油負担額の見込みのため、福祉灯油は対象地区や対象者を全市町村に広げることが不可欠である。さらに、灯油や燃料高騰に苦しむ農林漁業者や中小零細事業者、学校などに対する支援策も不可欠である。
また、県の支援に加え、国としての施策も必要であり、県からの働きかけを要望する。灯油高騰の第1の要因は、投機マネーの動きが中東の不安定な政情や新興国の景気動向を利用して儲けようと活発になり、原油高騰をつくりだすからである。2008年の暴騰も投機マネーが原因であったが、その後も国際的な金融緩和でだぶついたマネーが食料や原油に流れ込み、価格を押し上げ続けている。投機を抑えるための取引の透明化や取引高制限などの規制に、欧米のように日本政府も率先して努力するべきだ。第2の要因は、アベノミクス経済政策による物価高、円安への誘導である。さらに、第3の要因は、石油元売会社が冬場に石油製品の中で灯油だけを高くする灯油独歩高の価格形成である。最近では、給油所の激減で、過疎地や被災地では買いたくても買えない灯油難民、ガソリン難民が深刻化し、安定供給の面からも問題が出ているが、これも燃料供給を業界任せにし過ぎた弊害の一つと考える。
以上のような状況から、行き過ぎた規制緩和による市場まかせ、石油業界まかせに何らかの歯止めをかけ、灯油高騰に対し国による緊急対策が必要だと考える。アベノミクスによるインフレ政策を進めるのであれば、北国にとって命に関わる灯油の価格に国は特別対策をとるべきであり、県民のくらしや農林漁業、事業を守るために、次の3点について請願する。
(請願項目)
1 県として、被災者や生活弱者を対象とした福祉灯油など、灯油購入の補助を全市町村に対象地区を広げ、対象者も拡充させ実施すること。実施時期も早め、年内に実施すること。
2 県として、灯油や燃料高騰に苦しむ農林漁業者や中小零細事業者、学校などに対する効果的な支援策を行うこと。
3 次の点について、国に意見書を提出すること。
(1) 政府によるインフレ政策の推進により、灯油をはじめ燃料の高騰に苦しむ被災者、消費者、農林漁業者、中小零細業者、学校などに対し、国の特別支援対策をとること。
(2) 灯油高騰の要因の一つとなっている原油への投機マネーの流入について、日本が率先して各国と連携し、規制を行うこと。
(3) 石油製品の適正価格と安定供給のために、石油製品流通に対し行き過ぎた規制緩和を見直し、行政不介入ではなく、行政の責任と役割を強めること。特に、冬期の灯油の独歩高、シリア情勢や円安に便乗した値上げが行われないよう、関係省庁から石油業界へ強力な指導を行うこと。
※項目1、3(2)及び3(3)は環境福祉委員会に付託(3(2)は不採択、その他は採択)