118 再び被爆者をつくらないために原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律改正を求める請願
平成26年7月1日
環境福祉委員会
議決日:平成26年10月10日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(請願趣旨)
私たちは、69年前、広島、長崎で原子爆弾の被害にあった岩手県に在住する被爆者である。日頃より、原爆被害者に対する援護について、多大の御配慮を賜っていることに、心から御礼を申し上げる。
今年は、広島、長崎の被爆から69年になる。人類がつくり出した最も残忍な兵器、核兵器による地獄を体験させられた私たちは、今日まで、自らの命を削る思いで被爆体験を語り、核兵器による犠牲が二度と生まれないことを強く願って運動を続けてきた。この地球上から核兵器をなくすことは、私たち被爆者の悲願であるが、この願いはいまだ実現していない。そればかりか、東京電力福島第一原子力発電所事故によって新たな被曝者がつくられ、多くの命が危険にさらされており、残念でならない。
私たちは、日本国民が安全に、安心して生きていけるためにも、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)(以下「現行法」という。)を改正し、原爆被害に対して国が償いをすることを求める決議を採択し、政府(総理大臣)及び国会(衆参両院議長)にその意見書を提出するようお願いする。
広島、長崎の被爆者は、原爆による熱線、爆風、放射線で殺され、傷つけられた。かろうじて生き延びた人々も、街中に飛び散る放射線を浴びた。多くの被爆者が無一文になり貧困のどん底に落とされた。そして、今日まで、いのち、からだ、こころ、くらしに被害を受け続けている。
しかし、現行法は、原爆被害を償う法律、国民の命を守る法律にはなっていない。
現行法の問題の第1は、原爆被害を放射線被害、それも初期放射線の被害に限定していることである。残留放射線、内部被曝を無視していることである。このような法律では、原爆被爆者だけでなく、原発事故等による被曝者も救われない。
第2は、被害に対する償いではなく、高齢化した被爆者に対する援護の法律になっていることである。
第3は、核兵器の廃絶を究極的廃絶と表現して、遠い未来の課題としていることである。世界の世論は、核なき世界に向けて大きく前進している。唯一の被爆国として速やかな核兵器廃絶をうたうべきである。
第4は、戦争被害受忍の立場に立った法律ということである。日本国民は戦争による命、身体、財産の被害は我慢しなければならないとしていることである。
私たち被爆者が求めている原爆被害に対する国の償いとは、原爆被害を起こした責任を明らかにして謝罪すること、原爆によって破壊された、いのち、からだ、こころ、くらしを償うこと、再び被爆者をつくらない証しを明らかにすることである。
(請願事項)
国に対し、現行法を改正するため、次の内容を含む意見書を提出すること。
1 再び被爆者をつくらないとの決意を込め、原爆被害に対する国の償いと核兵器の廃絶を趣旨とする法の目的を明示すること。
2 原爆死没者に償いをすること。
3 全ての被爆者に償いをすること。