4 残業代ゼロ制度の導入は行わず、正規雇用を増やして安定した雇用環境の確立を求める請願
平成27年10月13日
商工文教委員会
議決日:平成27年10月20日
議決結果:採択
送付
(請願趣旨)
安倍内閣は、2015年4月3日、労働基準法等の一部を改正する法律案を第189通常国会に提出し、同年9月24日に衆議院厚生労働委員会に付託され、翌25日には継続審査と決定された。
この法案には、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設や、企画業務型裁量労働制の対象拡大などが含まれている。これらについて、政府は、働いた時間ではなく成果で賃金を支払うなどと説明しているが、その本質は残業代ゼロ法である。高度プロフェッショナル制度の対象者については、特定高度専門業務で年収要件(1,075万円以上を想定)も設定されるが、具体的には省令で定めるとしており、将来的に対象者を大幅に拡大することが懸念されている。経済界は年収400万円以上を対象とするよう求めており、厚生労働大臣も小さく産んで大きく育てるなどと発言しているように、多くの労働者の残業代をゼロにしようとするものである。アメリカでの管理職や専門職、一部事務職を対象にしたホワイトカラー・エグゼンプションでは、年収2万3,660ドル(約290万円)以上が対象とされ、所得増を求める労働者側の要請を受けて、対象者を縮小すると米大統領も表明せざるを得ない状況となっている。
政府は、働かせすぎの防止策も提示しているが、例えば年間104日の休日を与えれば、それ以外の日には24時間働かせても構わないなど、防止策に値せず、連続長時間労働を可能とする内容となっている。この法案は、8時間労働制を壊し、ただ働きを強いる過労死促進・残業代ゼロ法だと言わざるを得ない。今必要なことは、長時間労働を規制して過労死をなくし、労働時間の短縮で正規雇用を増やし、安定した雇用環境をつくることである。
ついては、次の事項について、地方自治法第99条に基づき、国及び関係機関に対して意見書を提出するよう請願する。
(請願項目)
1 高度プロフェッショナル制度などの労働時間規制を適用除外とする新制度の導入や、裁量労働制の対象拡大及び手続き緩和を行わないこと。
2 過労死防止対策推進法を活用して長時間労働を是正し、正規雇用を増やして安定した雇用環境をつくること。