11 平成28年度岩手地方最低賃金改正等についての請願
平成28年3月8日
商工文教委員会
議決日:平成28年3月24日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
平成28年度の岩手県最低賃金の改正に関して、岩手労働局、岩手地方最低賃金審議会及び政府に対して意見書を提出するよう請願する。
(請願趣旨)
労働基準法第2条は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものであると定めている。しかし、地域別最低賃金の影響を受ける多くの非正規労働者やパートタイム労働者は、労働条件決定にほとんど関与することができない。
こうした中、最低賃金の引上げについては、2008年の成長力底上げ戦略推進円卓会議により合意され、また、2010年の雇用戦略対話においては、できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、2020年までに全国平均1,000円を目指すと合意された。こうした観点から、岩手県最低賃金は、ここ9年間で85円引き上げられたが、審議会においては、引上げ額のみが議論され、あるべき水準への引上げができていない現状にある。
また、昨年の2015春季生活闘争において、デフレから脱却し経済の好循環をつくりだすためには、経済成長と所得向上を同時に推し進めることとして、基本給の引上げ、いわゆるベースアップを確認し、妥結している。このことは、企業内最低賃金の引上げにも結び付いていることから、岩手県最低賃金の引上げを図らなければ、賃金格差が広がり、県内勤労者の人材確保が厳しくなる。
賃金のナショナルミニマムを担う現在の最低賃金695円は、岩手県の高卒初任給146,300円を所定内実労働時間168時間(高卒初任給及び所定内実労働時間は「平成27年賃金構造基本統計調査」を参照)で時間額換算した871円と比較して、差額が176円となり、一般的な賃金の実態を十分に反映できておらず、県内勤労者の有効なセーフティーネットとして十分に機能しているとは言えない。最低賃金を有効に機能させるためには、大幅な水準の引上げが極めて重要な課題となっている。
さらには、被災地の雇用におけるミスマッチの解消や安定した経営、雇用が図られるためには、岩手県最低賃金の引上げに合わせ、中小企業への支援の充実が対応策の一つである。
以上の観点から、次の事項について、岩手労働局、岩手地方最低賃金審議会及び政府に意見書を提出するよう請願する。
(請願項目)
1 岩手労働局及び岩手地方最低賃金審議会への要請事項
(1) 平成28年度の岩手県最低賃金の改正に当たっては、雇用戦略対話合意に基づき早期に800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円に到達することができる審議会運営を図るとともに、各種経済諸指標との整合性を図り、中央水準との格差是正等を踏まえた上積みを図ること。
(2) 県内で最低賃金以下の労働者をなくすために、事業所に対する指導監督を強化し、最低賃金制度の履行確保を図ること。
2 政府への要請事項
最低賃金引上げと同時に、中小企業に対する支援の充実とその周知を図り、安定した経営を可能とする対策を行うこと。