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請願・陳情

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議案名

55 「農業者戸別所得補償制度」の復活を求める請願

受理年月日

平成29年10月2日

付託委員会

商工文教委員会

本会議議決結果

議決日:平成29年10月10日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択

措置

送付

内容

(請願趣旨)
 本年8月の日照不足により、平成29年産米は収量が低下するとみられている。
 一方、飼料用米の作付けが増加して主食用米の生産が減少しており、前年に引き続き米価は上昇傾向にある。県内でも全国農業協同組合連合会岩手県本部の概算金(ひとめぼれA地区)が60キログラムあたり12,800円と、前年を1,000円上回っている。しかし生産にかかる経費は16,187円(農林水産省が実施した農業経営統計調査における岩手県の平成25年産米の全算入生産費)であり、販売価格が経費を下回っている状況に変わりはない。多くの稲作農家にとって、これでは作り続けられないという状況が続いている。
 長年にわたり米価が低迷している実態に対応し、平成25年度までは生産に要する費用(全国平均)と販売価格(全国平均)の差額を基本に交付する農業者戸別所得補償制度が取られていた。米については水田10アール当たり15,000円が交付され、多くの稲作農家の再生産と農村を支えていた。ところが平成26年度からは、経営所得安定対策に切り替わり、米については10アール当たり7,500円の交付金へと引き下げられた。しかも、この制度も平成30年産米から廃止されようとしている。
 政府は農地を集積し大規模化することで効率化を図ろうとしている。しかし米価が充分に回復せず戸別所得補償も削減・廃止されるもとでは、規模拡大した集落営農や法人ほど赤字が拡大し経営危機に陥りかねない。平成27年度でも経営所得安定対策として全県で30億8,000万円が稲作農家に交付されており、これがなくなると農村の経済にも大きな影響を与える。これでは、稲作経営が成り立たないばかりか、水田の持つ多面的機能も喪失し、地域経済をますます困難にしてしまうことは明らかである。そして国産米を中心とした食の安全・安心が脅かされることにもなりかねない。平成28年度の食料自給率は前年から更に下がり38%となった。政府は食料自給率45%を目指すとしているが、米の生産を守ることなしに食料自給率を向上させることはできない。
 平成30年から国による米の生産調整数量配分が廃止されることで、米価はますます不安定になることが心配されている。収入保険制度に一定の期待が寄せられているが、加入者が限られていることなどもあり、全体として価格を下支えする仕組みがない現状では、経営の不安を拭い去ることはできない。私たちは当面、農業者戸別所得補償制度を復活させて経営を安定させることで、国民の食糧と地域経済、環境と国土を守ることを求めてきた。私たちが昨年秋に行った地方自治体や農業協同組合との懇談では、県内全ての農業協同組合の代表と半数に迫る首長から同制度の復活を求める意見が寄せられた。欧米では当たり前となっている経営を下支えする政策が今こそ必要である。
 以上の趣旨から下記の事項について請願する。

(請願事項)
 下記の事項を実現するために政府及び関係機関に意見書を提出すること。
 1 農業者戸別所得補償制度を復活させること。

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