91 2019年度最低賃金引き上げに関する請願
平成31年3月14日
商工文教委員会
議決日:平成31年3月25日
議決結果:別記のとおり
送付
別記
1 次の事項を実現するために政府及び中央最低賃金審議会など関係機関に意見書を提出すること。
(1) 最低賃金について、以下のように改善すること。
ア 最低賃金は最低生計費を満たす金額とし、2010年の雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意に基づき、できる限り早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指すことを実現すること。
イ 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
(3) 以下の制度改正を行うこと。
イ 最低賃金を年金支給額、下請単価、業者や農民の自家労賃などに連動させ、ナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)の基軸とすること。
ウ 中小企業に対する大企業による優越的地位の濫用、代金の買い叩きや支払い遅延等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法、下請二法、独占禁止法を抜本改正すること。
エ 最低賃金を引き上げるための中小企業支援策を抜本的に拡充すること。中小企業負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度や中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担や税の減免制度を実現すること。
2 県として、賃金引上げのための中小企業支援策をさらに拡充すること。
【意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択】
1 次の事項を実現するために政府及び中央最低賃金審議会など関係機関に意見書を提出すること。
(1) 最低賃金について、以下のように改善すること。
ウ 審議会や専門部会の公開性を高めること。非正規労働者が意見陳述する機会を必ず設けること。
(2) 中央最低賃金審議会及び岩手地方最低賃金審議会の労働者側委員は、特定系統の団体からのみ選任され続けていることから、偏向任命を改め、各労働団体からバランスよく選出すること。専門部会の委員選出についても公正な任命を行うこと。
(3) 以下の制度改正を行うこと。
ア 最低賃金の日額、月額設定を復活させること。
(4) 最低賃金違反を根絶するため、労働基準監督官を大幅に増員し、監督行政の強化を図ること。
【不採択】
(請願趣旨)
アベノミクスによる異次元の金融緩和によって、大企業の内部留保は増えたが、労働者の実質賃金は下落し、消費支出も減少し続けている。雇用の流動化が推し進められ、非正規雇用労働者が全労働者の4割に達し、労働者の4人に1人が年収200万円以下というワーキング・プアに陥っている。低賃金で不安定な仕事にしか就けず、自立できない人が増え、少子高齢化がますます進行し、さらに親の貧困が子供たちの成長、発達を阻害しているという貧困の連鎖も大きな社会問題となっている。
2018年改定による地域別最低賃金は、最も高い東京で時給985円、岩手県では762円、最も低い地方は761円である。フルタイムで働いても月11万円から14万円の手取りにしかならず、これでは憲法が保障する健康で文化的な最低限度の生活はできない。しかも、時間額で224円にまで広がった地域間格差が、労働力の地方からの流出を招き、地方の担い手不足と地域経済を疲弊させる要因となっている。地域経済を再生させる上で、地域間格差の是正と最低賃金の大幅な引上げが必要である。深刻な人手不足を背景に、国会内では自民党議員による全国一律最低賃金制度を求める議員連盟が2月に発足している。
安倍首相は最低賃金の低さを認め、最低賃金を毎年3%程度引き上げて、加重平均で1,000円を目指すとしているが、年3%の引上げでは、できる限り早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指すとした雇用戦略対話での政労使三者合意を先延ばしすることになる。政治的決断で、直ちに1,000円に引き上げるべきである。同時に、中小企業の経営と雇用を維持するために、中小企業への助成や融資、仕事起こしや単価改善につながる施策を拡充することが必要である。さらに、公正取引の確立の点からみても、最低賃金を生活保障水準に引き上げ、企業間取引の力関係の中で単価削減、賃下げが押しつけられないようにし、適正利潤を含んだ単価を実現させることが大切である。最低賃金を改善することは、個人消費の拡大につながり、景気刺激策としても有効である。
憲法では、すべて国民は、法の下に平等、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するとされ、労働基準法は第1条で、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならないとしている。最低賃金の地域格差をなくして大幅に引き上げ、中小企業支援策の拡充を実現するため、2019年の最低賃金改定に当たり、次の事項について請願する。
(請願事項)
1 次の事項を実現するために政府及び中央最低賃金審議会など関係機関に意見書を提出すること。
(1) 最低賃金について、以下のように改善すること。
ア 最低賃金は最低生計費を満たす金額とし、2010年の雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意に基づき、できる限り早期に全国最低800円を確保し、2020年までに全国平均1,000円を目指すことを実現すること。
イ 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
ウ 審議会や専門部会の公開性を高めること。非正規労働者が意見陳述する機会を必ず設けること。
(2) 中央最低賃金審議会及び岩手地方最低賃金審議会の労働者側委員は、特定系統の団体からのみ選任され続けていることから、偏向任命を改め、各労働団体からバランスよく選出すること。専門部会の委員選出についても公正な任命を行うこと。
(3) 以下の制度改正を行うこと。
ア 最低賃金の日額、月額設定を復活させること。
イ 最低賃金を年金支給額、下請単価、業者や農民の自家労賃などに連動させ、ナショナル・ミニマム(国民生活の最低保障)の基軸とすること。
ウ 中小企業に対する大企業による優越的地位の濫用、代金の買い叩きや支払い遅延等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法、下請二法、独占禁止法を抜本改正すること。
エ 最低賃金を引き上げるための中小企業支援策を抜本的に拡充すること。中小企業負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度や中小企業とそこで働く労働者の社会保険料負担や税の減免制度を実現すること。
(4) 最低賃金違反を根絶するため、労働基準監督官を大幅に増員し、監督行政の強化を図ること。
2 県として、賃金引上げのための中小企業支援策をさらに拡充すること。