93 東日本大震災津波をはじめ災害からの着実な復興とふるさと振興の推進のための2020年度地方財政の充実・強化を求める請願
令和元年6月25日
総務委員会
議決日:令和元年7月3日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(要旨)
東日本大震災津波及び2016年台風第10号災害からの速やかな復興とふるさと振興、県政の重要課題への迅速な対応、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げる施策推進をはじめ、地方公共団体における確実な行政運営の推進、そしてその基盤となる地方公務員の人材確保等に向けて、地方財政の充実・強化を図るよう、2020年度の地方財政措置について、政府に対して意見書を提出するよう請願する。
(理由)
本県では、東日本大震災津波や2016年台風第10号災害からの速やかな復旧・復興が課題であり、安定した財源措置が不可欠となっているほか、度重なる非常災害に備えた体制強化も重要な課題となっている。さらに、2019年度からいわて県民計画(2019〜2028)がスタートし、健康・余暇をはじめとした重点施策の着実な遂行とともに、子供子育て支援策の充実、医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持をはじめとした取組の強化など、重要な局面となる。しかしながら、地方公務員をはじめとした公的サービスを担う人材が限られており、新たなニーズへの対応と細やかな公的サービスの提供が困難となっており、人材確保を進めるとともに、これに見合う地方財政の確立を目指す必要がある。
こうした中、政府は2019年6月21日に経済財政運営と改革の基本方針2019を閣議決定した。東日本大震災津波からの復興に関しては、復興・創生期間後の適切な対応を図るため基本方針を策定すること、復興庁の後継組織の在り方を定めることとしているが、本県の復興状況を踏まえれば、地域経済の回復、被災者の心身のケアやコミュニティ形成支援などのソフト面の対策は長期にわたる対策が不可欠であり、引き続き国による確実な財源措置が必要と言える。
地方一般財源の総額については、2021年度までにおいて、2018年度地方財政計画の水準を下回らないように実質的に同水準を確保するとしているものの、地方交付税の配分に当たり歳出改革の推進と地域再生や業務効率化等に前向き、具体的な行動に取り組む地方を支援する視点を盛り込むとしており、地方公共団体に対して一層の合理化を求める姿勢とも受け取れる。また、将来の人口構造の変化に対応した地方公共団体の行財政改革について、検討するとしており、確実な地方財政総額が確保できるのかが焦点と言える。
本来、必要な公共サービスを提供するため、財源面を担保するのが地方財政計画の役割であり、地方財政需要を的確に算定し、地方財政計画に反映することが不可欠である。
加えて、地方公共団体における臨時的任用職員及び非常勤職員の処遇改善を目的とした地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が2020年4月1日に施行されることとなり、本県では2019年2月県議会定例会において会計年度任用職員の給与等に関する条例をはじめとした関係条例が成立し、現在、制度導入に向けて具体的な運用に関して検討を進めている。また、県内各市町村においても、会計年度任用職員制度の導入に向けた検討を本格化させている。この法律を適正に運用するためには、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持することを前提とし、かつ会計年度任用職員への期末手当の支給をはじめとした処遇改善に係る経費を適切に地方交付税に算定するなどの一層の地方財政措置が求められる。
こうした状況を踏まえ、2020年度の政府予算と地方財政の検討に当たっては、歳入・歳出を的確に見積もり、地方財政の確立、さらには従事する地方公共団体の人材確保などが必要である。
以上のことから、地方自治法第99条の規定により、次の事項について、政府に意見書を提出するよう請願する。
(請願項目)
1 2020年度地方財政計画の策定に当たり、東日本大震災津波及び2016年台風第10号災害からの復旧・復興をはじめ、子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度な ど、急増する社会保障ニーズへの対応と人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。とりわけ、幼児教育・保育の無償化に伴う地方負担分の財源確保を確実に図ること。
2 東日本大震災津波からの復興・創生に当たっては、切れ目のない被災者支援と産業・生業の再生に係る支援措置の継続・強化に 力点を置き、地方公共団体が施策を進めるために必要な復興事業費総額の確保を図ること。
3 災害時においても住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体庁舎をはじめとした公共施設等の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充と十分な期間の確保を行うこと。
4 地方交付税の財源保障機能・財源調整機能の強化を図り、各地方公共団体における新たな財政需要の把握、小規模地方公共団体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。併せて、地方交付税原資の確保のため、対象国税4税(所得税・法人税・ 酒税・消費税)の法定率引き上げを行うこと。また、人口急減・急増自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、地方交付税算定の在り方を引き続き検討すること。
5 森林環境譲与税の譲与基準については、私有林人工林面積や林業就業者数の多い地方公共団体への譲与額を増大させるよう 見直しを進めること。
6 地方公共団体の基金残高を、地方財政計画や地方交付税に反映させないこと。
7 地方公共団体における会計年度任用職員制度導入に当たっての臨時・非常勤職員の処遇改善に係る地方財政措置を適切に講 じること。併せて、地方公共団体の公務運営に当たっては、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持すると ともに、行政需要に応じた常勤の地方公務員の確保に係る地方財政措置の拡充を図ること。