7 岩手県全域における「ダブルケア」支援を求めるための請願
令和2年2月25日
環境福祉委員会
議決日:令和2年3月24日
議決結果:採択
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(請願趣旨)
ダブルケアとは、子育てと介護を同時に担うことで、晩婚化、少子高齢化、核家族化等の問題が顕在化したもので、2016年4月の内閣府の調査によると、全国で少なくとも25万3千人に上ることが分かった。岩手県でもそれに直面する人が増えてきている現状で、深刻な社会問題として捉えられている。
育児・介護とも、当事者たちが抱える課題は多岐に渡る中で、その両方を抱えた当事者の精神的・肉体的負担は大きいものがある。
【ダブルケア支援の実情】
私たちが、ダブルケア当事者同士のおしゃべり会ダブルケアカフェを開催するようになって約4年がたとうとしている。その集いの中で、各種相談窓口において、ダブルケアについての理解が乏しく、思うような支援が受けられないと語る当事者がいる。介護や子育てなどの専門職ですら、ダブルケアという言葉も、その問題点、抱えている課題、どういった支援が求められているのかといったことを理解していない場合が多い。
また、現在の社会政策は子育ては子育て、高齢者は高齢者、障がいは障がいと分けられた支援体制となっているため、当事者があちこちの相談窓口に足を運び、それでもなお、上記のとおり、ダブルケアに対する理解が薄いため、適切な支援に結び付けられていないことが多い。また、ダブルケアカフェ参加者の話から、ダブルケア当事者がダブルケアの悩みを相談する窓口というのは、介護分野から子育て分野まで多岐に渡っていることが分かる。
当岩手奥州ダブルケアの会では、周知活動の一環として、主に支援者向けに2017年11月にダブルケアシンポジウム、2019年2月と6月にダブルケア勉強会を、横浜より研究・支援の第一線の講師(横浜国立大学 相馬直子教授並びに横浜を拠点として活動する一般社団法人ダブルケアサポート)を招いて開催してきた。ダブルケアに特化した勉強会は全国的にも少なく、特に、いわて県民計画(2019〜2028)にダブルケアを記載した岩手県にとっては、貴重な学びの機会であったと思うが、一任意団体の開催する勉強会では、参加者数が伸びず(2017年11月開催シンポジウム約60人、2019年2月開催勉強会26人、同6月開催勉強会25人)、周知活動に限界を感じている。
このような状況の中、ダブルケアで孤独に抱え込んでいる当事者は相当数いると予想されることから、県として、県全域において、ダブルケアを担う人々への充実した具体的支援を着実に実行するよう、次の事項について請願する。
(請願項目)
1 介護や障がい福祉、子育て支援などの関係機関が連携し、ダブルケアについて、ワンストップで相談や支援が受けられるよう、市町村の体制整備を働きかけること。
2 ダブルケアに関する勉強会及びダブルケアサポーター養成講座を実施し、子育て、介護、障がい福祉、男女共同参画などの相談や支援にあたる職業の人への知識と理解を深めてもらうよう努めること。
3 想いや悩みを共有できる場であるダブルケアカフェ等を設置し、当事者が孤立せずに、身近な場所で相談できる支援体制を整備すること。
4 女性だけに負担が集中しないよう、企業等における男女共同参画への理解を促進し、社会全体で男性の家庭進出を推進すること。
5 保育所利用に係る審査において、要介護者、障がい者への介護中や看護中であること、また高齢者施設の利用に係る審査において、子育て中や妊娠中であることを配慮するよう見直しを行うこと。
※ 項目1、2、3及び5は保健福祉部所管