10 「気候非常事態宣言」を求める請願
令和2年2月28日
環境福祉委員会
議決日:令和2年3月24日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(請願趣旨)
現在、世界各地で記録的な高温、集中豪雨、大規模な干ばつ、森林火災などの異常気象が増加している。WMO(世界気象機関)は、これら異常気象の増加傾向が長期的な地球温暖化の傾向と関係しているとの見解を示している。近年、日本においても、猛暑や巨大台風などの気象災害が頻発しており、昨年の台風第19号では岩手県でも犠牲者を出すなど甚大な被害を及ぼした。気候変動は気象災害の激甚化、自然環境や生態系の劣化、農業や漁業の一次産業への悪影響などをもたらし、私たち人類、そして地球上のすべての生物、自然は存続の危機にさらされている。
気候変動の脅威に全世界で対応するための国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを目的としている。2018年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)1.5℃特別報告書においては、世界の気温上昇は既に約1.0℃に達していること、地球温暖化を1.5℃に抑えるためには人為的な二酸化炭素排出量を2050年頃までに実質ゼロパーセントにする必要があること等が示された。
パリ協定の目的を達成するためには、世界全体で直ちに抜本的な対策に取り組み、それを継続的に進めていくことが非常に重要である。また、再エネ・省エネの推進は地域経済の好循環を生み出すなど、適切に設計された気候変動対策が経済・社会面における課題の解決にもつながり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献するものとなる。
このような状況の中、世界中で「気候非常事態宣言」を出した自治体数は1,328にまで増え(2020年1月26日現在)、再生可能エネルギーへの早期転換が大きく叫ばれている。岩手県は「いわて環境王国宣言」にもあるように緑豊かな奥羽山脈や北上高地、北上川や雄大な三陸の海など大自然の中でその恵みを受けている。私たちには古くから受け継がれてきた自然との共生という価値観を大切にし、次世代にもこの豊かな環境を引き継いでいく使命がある。まずは県内の各自治体の足並みをそろえ、同じ方向の未来を見据えて、全国に先駆け気候非常事態を宣言することで、他県各自治体、そして今年の11月に開催されるCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)へ向かう日本政府の後押しをし、未来の世代への責任を果たすべきである。
以上のことから、下記の事項について請願する。
(請願項目)
1 岩手県として、下記内容を含む「気候非常事態」を宣言することを求める。
(1) 「いわて環境王国宣言」の意思に基づき、子供から大人まで全県民に向け、今地球規模で起こっている気候変動の非常事態について全力で周知徹底をすること。
(2) 県として表明した「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を踏まえ、具体的な計画を盛り込んだ次期岩手県環境基本計画を打ち出し、民間企業などと連携した取組を加速させること。
2 政府に対して、地方自治法第99条に基づき、下記内容を含む「気候非常事態」を宣言することを求める意見書を提出すること。
(1) 子供から大人まで全国民に向け、今地球規模で起こっている気候変動の非常事態について全力で周知徹底をすること。
(2) 2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロパーセントを掲げ、全国で利用するエネルギーを化石燃料由来のものから再生可能エネルギーに完全移行できるよう、民間企業などと連携し抜本的な改革を早急に行うこと。