5 WTO交渉に関する請願
平成15年7月3日
農林水産委員会
議決日:平成15年7月9日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
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世界の貿易ルールを決めるWTO(世界貿易機関)交渉は、2005年1月の交渉妥結に向け交渉が進められており、本年9月にはメキシコにおいて閣僚会議が開かれようとしている。
特に農業分野の交渉において、アメリカや農産物輸出国は、急速な自由化を求め、大幅な関税率の引き下げや国内助成政策の削減を要求している。
さらに、林産物、水産物についても関税率の一律削減や撤廃などを求めている。こうした要求どおりとなれば、農林水産物は全面自由化同然になり、日本の農業は9割が壊滅するとの試算も出されている。
日本は食料・木材・水産物の最大の輸入国であり、この間、WTO体制下で一段と自給率は低下してきた。先のBSEの発生に見られるように、全面的に輸入に頼ることは、食に対する不安をますます高めることになる。
食と環境が世界的な課題になる中で、環境や資源の保全に果たす農林水産業の役割は大きく、持続可能な農林水産業が求められている。
しかし、農林水産物の全面自由化は、途上国も含めた各国の農林水産業の自立や、今後の世界人口の増加による食料問題の解決をさらに困難にするものである。
ついては、農林水産業の持つ多面的機能発揮と食料の安全保障、各国の自給率向上が図られる貿易ルールの確立を目指してWTO交渉に臨み、次の事項が実現するよう国に対して意見書を提出するよう請願する。
1 国内農林水産業の維持を可能とする関税率水準や国家貿易体制、特別セーフガードの維持、ミニマムアクセスの削減・廃止などの国境措置を確保すること。
2 行き過ぎたAMS(助成合計額)削減の是正と緑の政策の要件緩和など、国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。