108 「健康保険証を持てない人」をつくり出す健康保険証廃止の中止を求める請願
令和5年6月30日
環境福祉委員会
議決日:令和5年7月7日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(請願趣旨)
マイナンバーカードをめぐる問題が続出するなか、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案が令和5年6月2日の参議院本会議で可決、成立した。
マイナンバーカードの取得は任意とされてきたにもかかわらず、健康保険証と一体化させることによって、マイナンバーカードの利用を国民に強制することにつながる重大な方針転換である。充分な審議が尽くされたとは到底思われない。
法案の可決後も、マイナンバーカードの誤交付や別人へのひも付けなどの誤登録、医療機関に設置されているオンライン資格確認等システム機器のトラブルなど、生命や個人情報に関わる問題が連日のように報道されている。
国会審議を通じて、障害者、認知症の方や高齢者など、社会的弱者とされる人たちが、マイナンバーカードの手続、取得、管理ができず、制度的に健康保険証を持てない人にされかねない重大問題が次々と明らかになった。障害者のマイナンバーカードの取得をめぐっては、申請した際に、背後に車椅子のヘッドレストが写っていたので却下された、病気のため黒目が無い人でも黒目が写っていないので却下されたなどの事例が報告されている。また、岩手県保険医協会が行った健康保険証廃止に伴う高齢者施設等への影響調査(回答数70施設)によると、9割以上の施設で、利用者のマイナンバーカードの管理ができないと回答している。
健康保険証廃止に対する反対の世論が高まるなか、新聞各紙も社説等で、健康保険証廃止、見直しは今からでも遅くないなど、政府の強引なやり方を批判している。共同通信社が6月17日、18日の両日で実施した世論調査によると、延期や撤回を求める声が計72.1%に上ったと報道されている。患者や国民は健康保険証を廃止しマイナンバーカードに一体化することを求めていない。
健康保険証を廃止すれば、膨大な数の健康保険証を持てない人が生まれ、保険料を払っていても保険診療を受けられない人が続出することになり、国民皆保険制度の根幹を破壊する重大問題に発展しかねない。政府の冷静な判断が求められている。
以上の趣旨から、次の事項について、地方自治法第99条の規定による意見書を国に対し提出するよう請願する。
(請願項目)
1 健康保険証の廃止とマイナンバーカードへの一体化は中止を含め見直すこと。
2 トラブルの全容解明を行い、解決策が示されるまではマイナンバーカードのシステムの運用を止めること。
※項目2は総務委員会に付託