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請願・陳情

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議案名

110 LGBT理解増進法の改定を求める意見書の提出ならびに岩手県における差別禁止条例の制定及びパートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入を求める請願

受理年月日

令和5年6月30日

付託委員会

環境福祉委員会

本会議議決結果

議決日:令和5年7月7日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択

措置

送付

内容

(請願趣旨)
 令和5年6月16日に国会で可決、成立した性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(以下、「LGBT理解増進法」という。)は、「不当な差別はあってはならない」「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」など、LGBTQ+当事者の人権が抑制、侵害されかねない文言が盛り込まれており、LGBTQ+当事者団体を始め、多くの国民から非難、抗議の声が上がっている。
 ついては、同法の改正を求める意見書を国に対し提出するとともに、岩手県としての差別禁止条例の制定及びパートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入を請願する。
(請願理由)
 令和5年6月16日、参議院本会議において、LGBT理解増進法が成立した。
 また、同法が令和5年6月23日に公布、即日施行されることが決定された。
 しかし、その内容は理解増進とはかけ離れ、理解を阻害する内容になっている。
 LGBT理解増進法案は令和3年に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言を盛り込んだ超党派の議員連盟で合意に至ったにもかかわらず、国会提出直前に自由民主党内からLGBTは道徳的に許されないなど差別、偏見に満ちた異論が出され、法整備は頓挫した。
 本年、日本維新の会、国民民主党の法案をベースに、自由民主党、公明党の4党によって修正され、LGBTQ+当事者の声を聴くことなく、短期間で改悪された。
 その結果、同法案中「差別は許されない」が「不当な差別はあってはならない」と書き換えられ、国に義務付けた調査研究が学術研究に置き換えられ、「民間団体の自発的な活動の促進」も削除されるなど、法案は大きく後退させられた。とりわけ、同法第12条に「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」と、LGBTQ+当事者の尊厳を踏みにじるかのような文言が入り、政府が具体的な指針を策定するものと規定されたことは極めて重大である。
 これでは、そもそも差別は不当であるにもかかわらず、不当でない差別が存在する余地を法的に残し、すべての国民の安心のために、いじめや差別の原因となる無理解を擁護、温存することにつながり、LGBTQ+当事者の人権が抑制、侵害されかねない。
 同法を根拠に、民間団体の活動が国民に不安を与えているというような理由付けをされ、活動を規制される可能性もある。同法第3条の「全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」という基本理念と明らかに矛盾し、法の効果を真逆に転じさせるものである。
 同法案の審議においては、LGBTQ+当事者が直面する問題ではなく、トイレや公衆浴場など女性スペースの問題ばかりが取り上げられ、LGBTQ+当事者が女性の安全を脅かすかのような差別的発言が多くの議員からなされた。女性の安全問題は、性暴力の防止、被害者支援の法整備と取り組みの不十分さが問題であり、LGBTQ+当事者の権利に関わる同法の趣旨とは別の論点である。
 LGBTQ+当事者が直面している生きづらさ、差別、孤独は命に関わる問題である。
 今後、この法律が性的指向や性自認に関する取り組みを阻害する動きに使われることなく、真に基本理念に則った取り組みが進むよう、次の事項について請願する。
(請願項目)
1 現在のLGBT理解増進法では、差別禁止の実現には不十分であるため、岩手県として差別禁止条例の制定、パートナーシップ・ファミリーシップ制度を導入すること。
2 LGBT理解増進法の改正を求める国への意見書においては、同法第3条の基本理念を十分に踏まえ、実効性のある改正内容とするため、特に以下の点の改正を求めること。
(1) 同法第3条中「不当な差別はあってはならない」との文言を「差別はあってはならない」と改め、差別禁止規定を明記すること。
(2) 同法第12条の留意規定を始め、同法第10条第3項中「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ」など理解促進を制限、阻害しうる文言を削除すること。

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