17 国民のいのちと健康を守るため、医療・介護施設への支援を拡充し、2024年診療報酬・介護報酬を引上げ、ケア労働者の賃上げ・人員配置増を求める請願
令和5年12月4日
環境福祉委員会
議決日:令和5年12月12日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
送付
(請願趣旨)
政府は、看護師や介護職など社会基盤を支える労働者が、その役割の重要性に比して賃金水準が低い状況であるとし、ケア労働者の賃上げ事業に踏み出し、2022年10月からは診療報酬と介護報酬の臨時改定を行い、看護職員処遇改善評価料と介護職員等ベースアップ等支援加算を新設した。4年目に突入したコロナ禍において、自らの感染リスクや様々な行動制限に耐え、必死に国民の命と健康を守るために奮闘してきたケア労働者に対し、処遇改善の必要性を明言して賃上げ補助が行われた。
しかし、賃上げ対象を限定してしまったため、本来、チームワークが強く求められる医療現場や介護現場に格差が生じている。とりわけ、看護職員処遇改善評価料においては、就労看護師約166万人の35%程度である57万人しか対象にならず、施設数でみれば、17万8千余りある医療施設の内、対象は2,720施設とわずか1.5%程度に過ぎない。コロナ禍において国民の命や健康を守るために必死に奮闘してきたのは、一部の限定された施設や職種だけではない。
更に、40年ぶりの物価高騰を背景に、2023年春闘では、一般社団法人日本経済団体連合会が大幅な賃上げは企業の社会的責務であるとし、人材確保の観点から大幅賃上げを表明する企業や、労使交渉で労働組合の要求に満額で応える大手企業が相次いだ。政府が物価上昇を超える賃上げを求め、原材料費などのコスト増を価格に転嫁するよう呼び掛けたことも、中小企業の賃上げを後押しした。
しかし、国が決める公定価格で運営している医療機関や介護施設等は、様々なモノやサービスの値上げを価格転嫁できず、賃上げに必要な財源の確保が困難で、2023年春闘では賃上げの流れから取り残された。2023年秋闘では一時金の引下げ回答まで出されている組合もあり、診療報酬、介護報酬の抜本的な引上げと同時に患者、利用者負担軽減策を実施するべきである。
以上の趣旨から、次の事項について、地方自治法第99条に基づき国に対する意見書を提出するよう請願する。
(請願事項)
1 医療や介護現場で働く全てのケア労働者の賃上げと人員配置増につなげるよう、2024年診療報酬と介護報酬を抜本的に引き上げること。
2 全ての医療機関や介護施設に行き渡る物価高騰支援策を拡充すること。
3 必要に応じて、診療報酬と介護報酬の臨時改定を行うこと。