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請願・陳情

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議案名

30 訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求める請願

受理年月日

令和6年6月27日

付託委員会

環境福祉委員会

本会議議決結果

議決日:令和6年7月4日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択

措置

送付

内容

 (請願趣旨)
 訪問介護事業所がなくなれば住み慣れた家で暮らしていけない。3年に1度の介護報酬の改定で、訪問介護の基本報酬が2024年4月 から引き下げられたことに怒りや不安の声が広がっている。身体介護、生活援助などの訪問介護は、とりわけ独居の方をはじめ要介護者や家族の在宅での生活を支える上で欠かせないサービスである。このままでは在宅介護が続けられず介護崩壊を招きかねない。
 いわての介護を良くする会、岩手県民主医療機関連合会、岩手県社会保障推進協議会は共同で、2024年5月21日から5月31日までの期間、岩手県内の訪問介護事業所332施設を対象に緊急のアンケートを行い、21%に当たる70施設から回答を得た。
 介護報酬の引下げについて、94.3%が納得できないと回答し、影響については事業所の経営が苦しくなるが81.4%、ヘルパーの意欲・モチベーションが下がるが71.4%、ヘルパーの賃金改善が難しくなるが70.0%など、事業所運営に大きく関わる問題が浮き彫りになっている。さらに、困っていることがあると答えた事業所は98.6%にのぼり、その内容は人員不足が80%、募集しても人が来ないが77.1%、ヘルパーの高齢化が71.4%の順となっている。そして、国に望むこととして、現場の実態を見てほしい、介護報酬を上げてほしい、このままでは倒産するなど悲痛な声で埋まっていた。
 介護報酬は介護保険から介護事業所に支払われるが、今回の引下げで訪問介護事業所、とりわけ小規模、零細事業所が経営難に陥り、在宅介護の基盤が壊滅的になる恐れがある。2023年の訪問介護事業所の倒産は67件と過去最多を更新し、そのほとんどが地域に密着した小規模、零細事業所である。
 厚生労働省の調査でも、訪問介護事業所のうち36.7%が収支差率0%未満の赤字であることが明らかになっているにも関わらず、厚生労働省は引下げの理由として、訪問介護の利益率が他の介護サービスより高いことを挙げている。これはヘルパーが効率的に訪問できる高齢者の集合住宅併設型や都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げているものであり、実態からかけ離れた数字を根拠に、訪問介護費を切り下げたと言っても過言ではない。
 訪問介護は特に人手不足が深刻である。長年にわたり訪問介護の基本報酬が引き下げられた結果、ヘルパーの給与は常勤でも全産業平均を月額約6万円も下回っている。ヘルパーの有効求人倍率は2022年度で15.5倍と異常な高水準である。
 政府は訪問介護の基本報酬を引き下げても、介護職員の処遇改善加算でカバーできるとしているが、既に加算を受けている事業所は基本報酬引下げで減収となる。処遇改善加算による収入分は全て職員の給与として支払われるものであり、事業所の経営は苦しいままである。その他の加算も算定要件が厳しいものが多く、基本報酬引下げ分をカバーできない事業所が出ると予想される。今回の介護報酬改定では介護職員の処遇改善のため報酬を0.98%引き上げるとしている。これにより厚生労働省は職員のベースアップを2024年度に月額約7,500円、2025年度に月額約6,000円と見込む。しかし、財源の根拠が不明確でベースアップが確実に実行される根拠はない。このままでは介護人材の確保はますます困難になるだけである。
 2024年6月5日、衆議院厚生労働委員会において、介護・障害福祉事業者の処遇改善に関する決議を全会一致で決した。決議は、介護・障害福祉従事者は重要な職責を担っていると指摘。他産業の給与水準と比べて低い状況だとして、優れた人材の確保やサービス提供体制を整備するため、報酬改定などの影響について介護事業者等の意見も聞き、速やかで十分な検証を行うとしている。また、賃金などの処遇改善に資する施策を検討し、必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるべきだと政府に求めている。
 日本医師会常任理事の江澤和彦氏が、訪問介護がなくなると、在宅医療は容易に破綻して施設入所になると指摘しているように、訪問介護の縮小、撤退は地域での在宅ケア、在宅医療の破綻に直結する。
 以上の趣旨から、次の事項につき、地方自治法第99条に基づき、関係機関に対して意見書を提出するよう請願する。
(請願事項)
訪問介護費の引下げ撤回と、介護報酬引
上げの再改定を早急に行うこと 。

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