2 県立胆沢病院産婦人科と小児科の常勤医師増員確保を求める請願
平成19年6月26日
環境福祉委員会
議決日:平成19年7月4日
議決結果:採択
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県立胆沢病院はこれまで胆江管内のみならず、両磐や沿岸そして北上・花巻地域からの患者を引き受け、名実ともに地域医療の中核病院として県民・住民の厚い信頼を得てきた。
しかし、この6月中に産婦人科の3名の医師のうち1名が大学病院へ戻るため退職し、もう1名の医師は産休に入るため、常勤医師は1名となってしまう。
地域の住民・県民は県立胆沢病院でこれまでのような診察・治療を行っていくことを切望しているが、産婦人科医師1名では、これまでのような診察や救急体制を継続することは不可能である。
また、小児科においては4月より、常勤医師が1名しか配置されておらず、入院引き受けや緊急治療などができなくなっている。数年前にも一関市で子供が小児科をたらい回しになり、幼い尊い生命がなくなった事件があった。このような悲しいことが発生しないよう、小児科常勤医師を複数にしていただくよう、切に望む。
(理由)
県内の公立病院において、産婦人科や小児科が廃止・縮小され、どの地域においても深刻な状況となっている。その中で、県立胆沢病院の年間分娩数のうち約20%は胆江地区外に在住する人の里帰りなどの出産となっており、また高度な施設を備え県民から安心できる病院として、県立胆沢病院には県内から広く受診者が来ており、名実ともに岩手県の基幹病院となってきた。
今、この県立胆沢病院に産婦人科の常勤医師を確保せず、廃止となった場合、これまで各地から受診してきた県民に更なる不便を与えるのみならず、この胆江地区においてさえ、ハイリスク出産や緊急事態が生じた場合、例えば北上まで搬送するにも最低30分の時間がかかり、母子ともに生命が失われていく危険性が高くなる。
小児科においても現在常勤医師は1名しか配置されておらず、深刻な状態が続いている。しかも、産婦人科がもしも廃止された場合、この小児科も廃止の方向と聞いている。これでは将来の岩手を担う子供たちを健全に育むことは困難になりかねない。
地域によって医療が受けられないという命の格差があってはならないと思う。確かに全県的に医師が不足していることは承知しているが、こうした事態の背景には、多くの医療関係者が共通して述べているように、国の医師数抑制政策や構造改革の名による診療報酬の総額削減路線があることは明白である。それだけに今、県民の命と健康を守る地方自治体の役割と責任が一層重要になっていると思う。
岩手県当局、県医療局、県議会、各市町村そして県民が一体となり、国や大学、医療機関に働きかけ医師の配置を訴えていくことが必要である。
ついては、岩手県議会におかれても、私どもの請願の趣旨を審議され、採択されることを望む。
以上、地方自治法第124条の規定により請願する。