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請願・陳情

詳細情報

議案名

37 BSE全頭検査の継続を求める請願

受理年月日

平成16年10月4日

付託委員会

農林水産委員会

本会議議決結果

議決日:平成16年10月8日
議決結果:意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択

措置

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内容

 日本で初めてBSEが発生してから、この9月で3年がたった。その時の消費者のショックは大きく、牛肉の安全への信頼が一挙に崩れた。生産現場はもっと大変だった。しばらく混乱が続いて牛を出荷できず、畜産農家は「もうやっていけない。首をくくるしかない。」という絶望の声をあげ、生産県の消費者として、とても心が痛んだ。
 しかし国のBSE対策として、と畜される牛の全頭検査と感染の危険がある特定危険部位の除去が確立し、トレーサビリティーも導入されたことで、私たちはまた牛肉を安心して食べることができるようになった。このことは、国産牛の消費を急速に回復させ、経営は大変でも畜産や酪農の生産を続ける大きな力になり、県民の多くは、この国のBSE対策を支持している。
 ところが、ここにきて内閣府食品安全委員会が、全頭検査の緩和を発表し、根拠として、現在まで21ヶ月以下の月齢の牛からBSEが発見されず、その月齢の牛の感染が検出限界に近いことを挙げた。しかし、血液検査による方法が発見され、検出の精度も上がっている今、科学的と言うなら、検査レベルの向上が先ではないであろうか。
 しかも、BSEはその発症の仕組みがまだ科学的に解明されていない。検査で検出できない若い牛でもBSEの原因である異常プリオンは蓄積しており、今回の食品安全委員会の検討でも意見が分かれ、月齢基準では科学的根拠が乏しいという声も出された。また、非常にまれではあってもBSEは人に感染し、変異型ヤコブ病を引き起こすだけではなく、その患者からの輸血、外科手術、内視鏡などを介して、人から人への伝ぱリスクも抱えていること、日本人の93%は変異型ヤコブ病にかかりやすい遺伝子を持っているとの厚生労働省の研究発表もあることなどを考えると、BSE対策は他の食品の安全リスクとは違った側面を持っている。また、危険部位除去の数パーセントのリスクも発表されており、国民の安全と健康のためには、現在の全頭検査と危険部位除去の二重安全対策は続けるべきである。
 また、今回の全頭検査の緩和の表明は、大半が20ヶ月以下のアメリカからの牛肉輸入再開の布石と見られ、今の時期の再開は、アメリカ大統領選挙とのかかわりも取りざたされている。昨年末、アメリカでもBSEの牛が見つかったが、検査体制が大きく違い、私たちは不安になった。アメリカは群れ管理が多く、牛一頭一頭の産地や月齢の証明は難しい上、検査頭数も少なく、よろけている牛が検査からもれる事例も報告されている。また、危険部位の除去も30ヶ月以上であり、その方法も信頼性に欠けると言われている。
 このような状況で全頭検査を緩和することに対し、いま多くの県民から心配の声が寄せられている。私たちはこれまで、安全で安心して食べられる食料を求めて活動し、事業も行ってきた。食料は地域でとれたものを食べる地産地消が安心であり、安全への近道と運動を続けている。食の安全・安心にやりすぎはなく、食の安全を求める県の政策もこれからが本番である。
 私たちはこれまでの運動に基づき、消費者として安心できる牛肉を求めて、岩手県議会に次のことを請願する。

1 私たちは安心して食べられる牛肉を望んでいる。そのメカニズムがまだよく解明されていないBSEは全頭検査を継続し、危険部位除去との二重安全対策による安全・安心の確保を望む。国の責任で全頭検査が継続されるよう国に意見書を提出されたい。
2 また、国の全頭検査緩和が決まった場合は、消費者の不安除去や、畜産・酪農県として、安心して全国に牛肉を出せるよう、県独自の全頭検査の継続を望んでいる。県議会としても推進してくださるよう要請する。
3 私たちは、食の安全が政治の道具にされ、きちんとした安全の検証がないままのアメリカ牛の輸入再開には反対である。安易な政治的決着をしないよう、牛肉の生産県の議会として、意見書を提出されたい。

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