認定第1号 平成29年度岩手県一般会計歳入歳出決算
平成30年9月13日
議決日:平成30年10月15日
議決結果:意見を付し原案認定
●認定第1号 平成29年度一般会計歳入歳出決算 附帯意見
1 決算に対する全般的な意見
平成29年度における本県財政は、景気の緩やかな回復傾向のもと、復興需要などによる個人所得の増などに伴う県民税の持ち直しなどがあったものの、財政調整基金現在高が前年度比19億円減の208億円余となるなど、厳しい運営を迫られたものとなった。
また、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は18.2%と前年度に比べ1.3ポイント改善しているが、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を超える状況が続き、依然として県債の償還が高い水準で推移するとともに、社会保障関係費の増加などにより、今後も引き続き厳しい財政運営を強いられることが予想される。
このような中、県では、平成29年度予算を「未来につなげる復興ふるさと振興予算」と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧・復興に向けた事業を最優先に取り組んできたところであり、本格復興への歩みは着実に進んでいるものの、いまだに応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされている方々や、平成28年台風第10号で被害に遭われた方々の暮らしの再建やなりわいの再生など、引き続き復旧・復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
今後の財政運営に当たっては、被災者一人ひとりに寄り添いながら県民が実感できる復興を強力に推進し、本県の喫緊の重要課題の克服に向けた施策を展開していくため、人材の確保など体制面を強化しつつ、岩手県中期財政見通し(2018年度〜2022年度)において、2019年度以降に59億円から95億円程度の収支ギャップが生じると見込まれている状況を踏まえ、あらゆる角度からの歳入確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行って、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
また、このような認識のもと、ラグビーワールドカップ2019TM釜石開催の成功や世界遺産の登録の推進に関する取組をはじめとする文化・スポーツの振興、三陸防災復興プロジェクト2019の開催等による将来を見据えた沿岸地域の総合的な振興、国際リニアコライダーの実現のほか、人口減少対策や地域特性を生かした産業の振興、雇用対策、医療・介護・福祉の充実、学校教育の充実及び防災・減災対策など、本県が直面する課題を踏まえた次期総合計画を定め、県北・沿岸振興などふるさと振興の具体的な取組を着実に推進されたい。
なお、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価するとともに、次期総合計画の策定に当たっては課題解決につながるような指標の設定を行うなど、評価の実効性を高めるよう引き続き改善を図られたい。
平成31年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
2 事務の適正化等に関する意見
平成29年度決算の監査結果では、事務の適正化について前年度の指摘事項等であったにもかかわらず改善されていないものが認められたことから、全庁的なチェック体制の強化に引き続き取り組むとともに、職員の意識改革を図るよう強く指摘されている。
県においては、適切な積算根拠に基づき県民の理解を得られるような予算編成や事務の執行を行うとともに、補助金事務や委託契約においては適正な事務処理を確保するため、従来からの内部考査の実施等の対策や昨年度の各広域振興局への審査指導監の配置に加え、今年度の内部統制体制の構築に向けた総務部総務室への行政経営課長の配置による相互牽制機能を高める取組を通じて、より一層の内部管理体制の確立を求めるものである。