認定第1号 平成30年度岩手県一般会計歳入歳出決算
令和元年10月8日
議決日:令和元年11月11日
議決結果:意見を付し原案認定
●認定第1号 平成30年度一般会計歳入歳出決算 附帯意見
1 決算に対する全般的な意見
平成30年度における本県財政は、景気の緩やかな回復傾向のもと、個人所得及び企業収益の増などに伴い県税収入は過去最高となり、また、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は16.7%と前年度に比べ1.5ポイント改善し、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を7期ぶりに下回った。一方で、依然として県債の償還が高い水準で推移するとともに、災害対応や社会保障関係の経費増加などにより、今後も引き続き厳しい財政運営を強いられることが予想される。
このような中、県では、平成30年度予算を東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに、「ふるさと振興」を着実に推進するための予算と位置付けて取組を推進してきたところであり、職員の懸命な努力により、本格復興への歩みは着実に進んでいるものの、いまだに応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされている方々や、平成28年台風第10号で被害に遭われた方々の暮らしの再建、なりわいの再生など、引き続き復旧・復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
加えて、令和元年台風第19号に伴う災害により甚大な被害が発生し、度重なる自然災害により県民生活や県内経済に非常に大きな影響が生じていることから、早期の復旧・復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
今後の財政運営に当たっては、被災者一人ひとりに寄り添いながら県民が実感できる復興を強力に推進し、本県の喫緊の重要課題の克服に向けた施策を展開していくため、人材の確保など体制面を強化しつつ、岩手県中期財政見通し(令和元年度〜4年度)において、令和2年度以降に82億円から98億円程度の収支ギャップが生じると見込まれている状況を踏まえ、あらゆる手段により歳入確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行って、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
また、このような認識のもと、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、新たな交通ネットワークや様々なつながりを生かした沿岸地域の総合的な振興と震災の教訓の伝承、国際リニアコライダーの実現、県北・沿岸振興のほか、人口減少対策や医療・介護・福祉の充実、教育の充実、文化・スポーツの振興、防災・減災対策、地域特性を生かした産業の振興など、ふるさと振興に向けて、本県が直面する課題を踏まえた具体的な取組を着実に推進されたい。併せて職員の人材育成にも取り組まれたい。
なお、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価するとともに、評価の実効性を高めるよう引き続き取り組まれたい。
令和2年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
2 事務の適正化に関する意見
平成30年度決算の監査結果では、事務の適正化について前年度に指摘を受けたにもかかわらず同一事務について連続して指摘を受けたものが認められたことから、全庁的なチェック体制の強化に引き続き取り組むとともに、職員の意識改革を図るよう強く指摘されている。
県においては、適切な積算根拠に基づき県民の理解を得られるような予算編成や事務の執行を行うとともに、補助金事務や委託契約においては適正な事務処理を確保するため、従来からの内部考査の実施等に加え、今年度整備された内部統制体制の運用による相互牽制機能を高める取組を通じて、より一層の内部管理体制の充実に努められたい。