安全・安心で便利な交通機関としてバス・タクシー事業者が役割を担っている地域公共交通を守るための施策を推進するよう強く要望する。
理由
バス、タクシー事業は、新型コロナウイルス感染症の影響などによる収入の減少や燃料高騰等により経営状況が悪化する中で、コロナ禍後の需要の回復への対応が困難となっており、運転者不足を要因とした路線バスの便数削減やタクシー稼働台数の減少に伴い、地域住民の生活に欠かせない移動手段の確保が課題となっている。こうした現状を改善し、安全・安心に暮らせる地域社会を構築するため、国は地域公共交通の維持、再生に必要な新たな財政支援制度を創設すべきである。
国は現在、大都市圏や一部観光地におけるタクシーの供給不足を理由に、ライドシェアの導入に向けた検討を進めているが、ライドシェアは、運行管理や車両整備の責任を負う主体を置かないまま、自家用車の運転者のみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保や利用者の保護などの観点からさまざまな課題があると指摘されている。
利便性だけを考慮してライドシェアが無秩序に地域で展開されれば、結果的に利用者の安全・安心が担保されない事態が常態化することが考えられる。
また、ライドシェアは、タクシーだけではなく、バスや鉄道の利用者も奪うこととなり、地域公共交通を維持するために努力してきた地方公共団体のこれまでの取組に大きな影響を及ぼす恐れがある。
よって、国においては、安全・安心で便利な交通機関としてバス・タクシー事業者が役割を担っている地域公共交通を守るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 安全・安心を無視した無秩序なライドシェアの導入を行わないこと。
2 地域公共交通を守るための施策を推進すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。