勤労者の労働条件の改善のため、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。
理由
労働基準法第2条において、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものと定められているが、最低賃金の影響を受ける労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
一方、政府においては、デフレ完全脱却のための総合経済対策(令和5年11月2日閣議決定)において、労務費の適切な転嫁のための指針の策定、最低賃金の引上げ及びその支援などを盛り込んでいる。さらに、賃上げ促進税制の強化を進めるとともに、中小企業の成長分野への挑戦や生産性向上への支援を含め、賃上げ継続と支援措置を充実するとしている中にあって、本県の最低賃金は、現在893円と過去最高の39円の引上げとなったものの、全国で単独最下位となっている。
また、隣県や都市部との最低賃金の差が拡大しており、年間2,000時間働いたとしてもワーキング・プアの水準とされる年収200万円にも満たないことから、若者の他県への流出が懸念され、人手不足が深刻化する中にあって、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。
これらの課題に対応するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分を進めるとともに中小企業が経営基盤を強化し、賃上げ原資を確保することが重要であり、国による積極的な関与が必要である。
よって、国においては、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
2 以下の制度改正を行うこと。
最低賃金の引上げ及びコロナ禍を克服して経営が継続できるよう中小企業振興策を拡充するとともに、中小企業の負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度並びに中小企業の社会保険料負担や税減免制度等を創設すること。
3 生活困窮から抜け出せない働く全ての労働者の処遇改善と、現下における原材料の高騰、物価高などの克服のための価格転嫁円滑化など、中小企業、小規模事業者に対する実効性ある支援制度の充実と利用促進のため周知の強化を図り、安全で安心な暮らしの実現にむけ対策を講ずること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。