破損した太陽光パネルの感電、火災及び有害物質による危険性とその対処について、国民に周知するよう強く要望する。
理由
平成24年、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、通称FIT法に基づく固定価格買取制度が創設されて以来、太陽光発電事業者が設置する太陽光発電施設が急激に増加し、広大な山林等のメガソーラーだけでなく、空地、農地、傾斜地、住宅及び小中学校の屋上にまで太陽光パネルが設置される一方で、太陽光発電設備が破損する事故も増えてきている。
太陽光パネルは、破損や浸水した場合でも、日が当たれば発電を行う可能性があるため、感電や火災が起きる恐れがあり、また、火災時の消火については、通常より距離をおくなど、感電に気を付けなければならない。
令和6年1月1日に発生した能登半島地震においては、太陽光発電施設や設備が広範囲にわたり多数破損した。石川県穴水町では、斜面に数百平方メートルにわたって敷き詰められていた太陽光パネルが崩落し町道を塞いだ。同県珠洲市ではスーパーの屋根に設置されていた太陽光パネルが建物ごと倒壊し長期にわたりそのまま残されたが、スーパーの経営者は発火の恐れがあることを知らなかった。
破損した太陽光パネルの取扱いについては、経済産業省や環境省等が製造業者や事業者向けにガイドライン等を作成しているが、一般国民には、その危険性について十分に周知されているとは言い難く、住民に身近な地方自治体のホームページを見ても、周知をしているところは少ない。
水害、地震の多い我が国においては、太陽光パネルの安全対策について、より一層、国民に周知すべきであり、このことが国民の生命を守ることにつながる。
よって、国においては、破損した太陽光パネルの感電、火災及び有害物質による危険性とその対処について、国民に十二分に周知する取組を行うよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。