子宮頸がんの撲滅に向け、国、都道府県、市町村が一体となったHPVワクチン接種の普及の取組を促進するため、制度の見直し等の対策を強化するよう強く要望する。
理由
子宮頸がんは、HPVワクチンと、HPV検査を導入した精度の高い検診によって、今や予防できるがんと位置付けられている。しかしながら、我が国においては欧米諸国とは状況が異なり、子宮頸がんの患者数が増加の一途を辿っている。
その要因として、国がHPVワクチン接種の積極的勧奨を中止して以降、接種率が大幅に低下したこと、HPVワクチン接種の積極的勧奨が再開されたものの接種率が低迷していること、子宮頸がん検診の受診率が低いことに加え、HPV検査が未普及であるなど実効性のある検診体制の確立が遅れていることなどが挙げられている。
子宮頸がんは若い女性の罹患率が高く、女性から子どもを産む機会を奪うことからマザーキラーとも呼ばれ、多くの女性を苦しめてきた病気である。
一方で、ワクチン接種によって予防可能な数少ない病気でもあり、予防できるにも関わらずに罹患し、苦しむ女性を生み出さないためにもHPVワクチン接種の一層の普及が必要である。
また、キャッチアップ接種については、公費接種期間が令和7年3月末までとされており、対象者が知らぬまま当該期限を迎えてしまうことが懸念される。
よって、国においては、子宮頸がんの撲滅に向け、国、都道府県、市町村が一体となったHPVワクチン接種の普及の取組を促進するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 HPVワクチン接種に対する国民の認知度が依然として低いことから、国として更なる周知に努めるとともに、都道府県、市町村が行う接種率向上のための取組に対し、財政面も含め支援を強化すること。
2 キャッチアップ接種の接種率が低いことから、対象者に向けた情報発信を強化するとともに、当該期間の延長を行うこと。
また、住民票を置く自治体に関わらず対応できるよう制度 を見直すこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。