全国の小中学校における学校給食費の無償化を実現するため、恒久的かつ安定的な財政支援措置等を講ずるよう強く要望する。
理由
学校給食は、子どもたちの心身の健康を支え、健やかな成長を促す基盤であるとともに、栄養や地域の食文化を学ぶ生きた教材として重要な役割を担っている。とりわけ昨今の物価高騰の影響により、学校給食費は家計にとって大きな負担となっており、家庭の経済状況によって教育環境に格差が生じる懸念も高まっている。
文部科学省の調査によれば、令和5年時点で全国の自治体のうち3割超が小中学校の給食費を完全無償化しており、特に青森県においては、都道府県として全国で初めて全ての小中学校の給食費を完全に無償化するという先進的な取組を令和6年度から開始した。これは、子育て支援の強化及び地域間格差の是正を同時に進める政策であり、今後の全国的なモデルとなり得るものである。
一方、岩手県内においては、33 市町村のうち約3割が学校給食費の無償化に踏み出しているものの、多くの市町村では財政的制約から実現には至っておらず、保護者の負担軽減が地域によって大きく異なっている。多くの市町村長からは、少子化対策としても国による一律の支援が必要との強い声が上がっている。
学校給食費の無償化には、国、自治体双方の財政的負担、公平性の確保、さらには給食の質の維持といった複合的な課題があるが、それでもなお、全国の子どもたちが生まれ育った地域にかかわらず等しく温かい給食を食べられる環境を整備することは、将来世代への責任として極めて重要である。
よって、国においては、全国の小中学校における学校給食費の無償化を実現するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 全ての小学校児童が安心して安全な給食を食べられる環境を確保するため、小学校における給食費の無償化を令和8年度までに全国一律で実現すること。
2 中学校を含む無償化の段階的拡大を視野に入れつつ、学校給食法との整合性や公平性、質の維持等に配慮した制度設計を早急に検討し、具体策を速やかに提示すること。
3 制度の円滑な実施に向けて、都道府県及び市町村への恒久的かつ安定的な財政支援措置を講ずること。
4 地域間格差を是正するため、都道府県レベルでも独自に支援できるよう、交付金の柔軟な運用やインセンティブ制度を併せて検討すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。