医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で安心・安全に暮らせる社会の実現を図るため、医療的ケア児等への支援を拡充するよう強く要望する。
理由
人工呼吸器の使用や喀痰吸引等の医療行為が日常的に必要な児童である医療的ケア児は、近年、医療技術の進歩に伴い増加傾向にあり、全国で約2万人に上ると推計されている。
令和3年6月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定されたが、看護師や保育士等が配置された病院等に医療的ケア児を預け、家族が一時的に休息(レスパイト)することができる医療型短期入所サービスは、家族の希望に対して全国的に施設が不足しており、福祉型短期入所サービスについても、加算が不十分であり、介護人材の不足も相まって広がりを欠いている。
また、長期的な医療的ケアやリハビリテーション等を行う医療型障害児入所施設についても地域によっては不足している状況である。
本県においては、医療型短期入所事業所の多くが県央部にあり、沿岸部の児童や家族が利用するためには、往復4〜5時間かけて移動する必要がある。
加えて、子どもから大人への移行期に対応した地域の病院も少なく、保護者が生活困窮や心身の疲労困ぱいに陥っている実態がある。
また、医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で希望するサービスを受けられるようにするためには、施設が不足する地域への新たな事業者の参入促進に向けた環境づくりなどの地域格差の実態を踏まえたきめ細かな対応が求められている。
よって、国においては、医療的ケア児とその家族が住み慣れた地域で安心・安全に暮らせる社会の実現を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 国は専門的な知識や技術を有する看護師や保育士、介護の人材を確保するため、基本報酬や処遇改善加算の拡充を行うなど、更なる処遇改善を図ること。
2 国は医療型短期入所事業所や医療型障害児入所施設の新規参入を促すため、施設や医療機器等の初期投資に係る費用や安定的な施設運営に向けた支援の拡充を行うこと。
3 国は障がい者福祉施設等が、医療的ケア児を受け入れやすいように、福祉型短期入所サービス費に係る加算の拡充を図ること。
4 国は重度訪問介護や放課後デイサービスの送迎等の移動を伴うサービスについて、距離に応じて加算を拡充すること。
5 国は地域生活支援拠点等事業について、市町村が円滑に事業を実施できるよう、適切な財政措置を行うこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。