大船渡市林野火災被災地域の一日も早い復旧・復興のため、被災自治体に対して集中的に支援するよう強く要望する。
理由
令和7年2月に本県の大船渡市で発生した林野火災は、延焼範囲が3,694へクタールと、平成以降国内最大規模となり、尊い命が失われ、住家をはじめ多くの建物等が焼失するなど甚大な被害を及ぼした。
被災した地域では、東日本大震災津波に続いて二重の被害を受けた住民も多く、被災者の生活再建支援や被災地域の早期復旧が求められているとともに、被災した児童生徒等の学びの継続支援や心のケア等、ソフト面の対策も必要となっている。
また、特用林産施設や水産業共同利用施設等、地域の基幹産業にも甚大な被害が発生しており、早期の事業再開や経営再建に向けた支援も求められている。
さらに、被災地域では、森林の焼失によって土砂災害リスクが高まっており、治山事業や砂防事業による防止対策が必要となっている。
これら以外にも、大船渡市林野火災の影響は多分野にわたっており、地方公共団体の財政的、事務的負担は極めて大きく、早期復旧に向けた課題解決のためには国の財政措置をはじめ十分な支援が必要である。
よって、国においては、大船渡市林野火災被災地域の一日も早い復旧・復興のため、次の対策を講ずるよう強く要望する。
1 災害応急対策のほか、被災者、被災した事業者への支援等、復旧・復興に要する経費に対し、創造的復興支援交付金を含め特段の財政措置を行うこと。
2 森林災害復旧事業の補助率は国1/2、県1/6とされており、県負担に対しては特別交付税80%、市町村が事業主体となる場合には、市町村負担に対して特別交付税70%が措置されているが、今回の被災区域は広大で、事業実施に伴う地方公共団体の財政負担が極めて大きくなることから、特別交付税の増額等特例的な負担軽減策を講ずること。
3 森林災害復旧事業の補助要件である被害木の伐採、搬出の事業実施期間「4カ年度以内」及び跡地造林の事業実施期間「5カ年度以内」について、災害復旧の規模が大きく、事務的負担も甚大であることから、弾力的に運用すること。
4 保安林以外の森林については、森林経営計画の作成が事業要件となっているが、当該計画の作成、審査には多大な事務や相当の期間を要することから、この要件の緩和を図ること。
5 森林災害復旧事業の対象に、被害木の整理や跡地造林は含まれているが、植栽木の健全な育成に不可欠な下刈り作業が含まれていないため、下刈り作業を補助対象に加えること。
6 被災した特用林産施設や高性能林業機械等の復旧に向けた林業・木材産業循環成長対策交付金について、必要な予算を十分に措置するとともに、地方公共団体の財政負担を軽減するほか、被災施設等の一部を再整備する場合でも、全ての撤去・廃棄を補助対象にするなど補助要件を緩和すること。
7 降雨等による土砂災害の未然防止に向けた治山事業や砂防事業について、必要な予算を十分に措置するとともに、くらしの再建を図る被災者が土砂災害特別警戒区域外に移転する場合に必要な予算を措置すること。
8 被災したテレビ共聴施設の復旧に対する補助率の引上げ等、支援制度の拡充を図ること。
9 被災した児童生徒等が安心して学びを継続できるよう、必要な財政支援を行うとともに、被災した児童生徒等の心のケアを行うためのスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置に必要な財政措置を行うこと。
10 東日本大震災津波に続き二重に被災した事業者等の支援のため、地方公共団体による小規模事業者等支援推進事業費補助金の補助上限の引上げ等、被害の実態に応じた支援の拡充を図るとともに、当該補助金に係る地方財政措置を講ずること。
また、被災事業者が行った休業について雇用調整助成金の対象とし、助成率や期間等については令和6年能登半島地震と同等にすること。
11 大規模な森林火災を含め、消火活動が困難な火災に対応するための消火手法等の研究開発を充実するとともに、資機材や装備の開発、導入を進めること。
また、自治体が行う火災警報の発令等の検討に必要な助言を積極的に行うこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。