文化芸術基本法の基本理念にのっとり、年齢、障がいの有無、経済的状況にかかわらず文化芸術を鑑賞、参加、創造できる環境を整備するよう強く要望する。
理由
子どもの豊かな創造力、想像力、思考力、コミュニケーション能力等を養い、多くの感動体験を得て感受性豊かな人間としての成長を促すため、本格的な文化芸術に直接触れたり創造活動に参加したりする体験活動の充実を図ることは重要である。
平成29年に文化芸術振興基本法が改正され、基本理念として新たに、年齢、障がいの有無、経済的状況にかかわらず文化芸術を鑑賞、参加、創造できる環境の整備を図らなければならない旨明記されるとともに、乳幼児、児童、生徒等への文化芸術教育の重要性と、学校、文化芸術団体、家庭、地域との連携の促進がうたわれている。
令和6年度学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業に関する調査研究におけるアンケートにおいて、令和5年度中に文化芸術鑑賞、体験機会(両方又はどちらか)の提供を実施している小中学校の割合が65.4%である一方で、過去に1度も実施されたことがなかったとする割合は8.7%であった。
自治体種別にみると、文化芸術鑑賞機会および体験機会のどちらも実施されていた割合は、政令指定都市、中核市で他と比較して高くなっており、学校での文化芸術鑑賞、体験機会の提供には地域間の格差が生じている。
また、子どもを対象にした文化芸術関連事業を実施、継続したいとする割合は75.9%と高く、継続的な実施に必要なことは、実施にあたっての十分な予算が得られる(79.1%)、実施にあたっての十分な体制が得られる(57.8%)とする割合が高いことから、十分な予算確保と体制整備が重要である。
よって、国においては、文化芸術基本法の基本理念にのっとり、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 全ての子どもが本格的な文化芸術に触れられる機会を拡充し、そのための財源を確保するとともに、学校や文化芸術団体、地域が連携するための体制整備の強化を図ること。
2 学校における文化芸術鑑賞、体験推進事業について、乳幼児も享受できるよう対象を就学前施設にも拡充し、そのための十分な財源を確保すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。