働く女性が希望どおり母乳育児を続けられるよう、母乳育児を支える労働環境の整備等を図ることを強く要望する。
理由
厚生労働省の平成27年度乳幼児栄養調査によると、妊娠中の女性の93.4%が母乳で子育てすることを希望している。
また、同調査によると、授乳期における母乳栄養の割合は生後1カ月では51.3%、生後3カ月では54.7%となっており、いずれも10年前の調査から増加している。
母乳を与えている割合は混合栄養も含めて、生後1カ月で96.5%、生後3カ月で89.8%と高い水準となっている。
さらに、出産後1年未満で働き始めた母親の母乳栄養の割合は49.3%となっており、10年前の26.7%から22.6ポイント増加している。
しかしながら、出産後母乳が出る時期に職場復帰している女性の多くは、職場で搾乳できる場所や母乳を保存する設備がなく、トイレで搾乳するため不衛生となり、母乳は破棄するしかない。
労働基準法では、1歳未満の子どもを育てる女性に「1日2回、各30分」の育児時間の取得を認めており、搾乳に充てることができるとされているが、職場と保育所等が離れているなどの理由から取得を諦める女性も少なくない。
また、乳腺炎を防止する上でも搾乳は重要である。
国は男女共同参画基本計画において、生涯を通じた女性の健康について、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点の重要性を謳っている。
母乳育児を行う、行わない、どれくらいの期間行うということは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに含まれ、外国では、搾乳や授乳のための法律を定める国もある。
よって、国においては、働く女性が希望どおり母乳育児を続けられるよう、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 働く女性の出産後の職場復帰と母乳育児の現状と課題について、実態把握に努めること。
2 職場復帰後に母乳育児が続けられるよう、衛生的でプライバシーが守られる場所での搾乳と母乳の保存が可能となる職場環境を整備するための具体的措置を講ずること。
3 母乳育児の権利について、社会的理解の促進に努めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。