地域経済の活力を維持し、持続的な賃上げと成長を実現するため、中小企業等や商工支援団体に対する安定的な財政支援措置等を講ずるよう強く要望する。
理由
本県経済を支える中小企業や小規模事業者は、地域の雇用と暮らしを守る基盤である。しかし、物価やエネルギー価格の高騰、人手不足や後継者不在、さらに最低賃金の引き上げなどにより、その経営環境はかつてないほど厳しさを増している。
実際に、信用調査会社の調査によると、本県の倒産リスクは東北の中でも高い水準にあり、また法人課税状況を広域振興圏ごとに比較してみても、赤字事業者等の割合は盛岡広域振興圏で約5割、県南広域振興圏で6割前後、県北広域振興圏で6割5分、沿岸広域振興圏で7割を超えるなど、県全体として厳しい経営環境が浮き彫りとなっている。
国では令和7年度から小規模企業振興基本計画(第V期)を開始し、小規模事業者への支援強化を掲げている。しかし、その実効性を担保するためには、現場の最前線で経営支援に当たる商工会や商工会議所等の商工支援団体が持続可能な体制を確立できるよう、国において安定した財政措置を講ずることが不可欠である。
よって、国においては、地域経済の活力を維持し、持続的な賃上げと成長を実現するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 中小企業の受託取引における価格転嫁の実効性を確保するため、公正取引委員会や関係機関による監督、是正指導を一層徹底するとともに、労務費やエネルギー費を適切に反映できる取引環境を整備すること。
2 資金繰りの安定化を図るため、セーフティネット貸付・保証制度の拡充や、相談窓口、オンライン手続の利便性向上を推進すること。
3 エネルギーや原材料価格高騰への対策を継続するとともに、省エネや生産性向上の設備投資を行う中小企業等に対する補助制度を拡充すること。
4 人材確保や育成に向けた支援を強化するとともに、社会保険料負担への配慮等の最低賃金引き上げに伴う中小企業等の負担軽減策を講じ、持続的な賃上げが可能となる環境を整備すること。
5 小規模企業振興基本計画(第V期)を着実に推進し、その趣旨を現場で確実に実行できるようにすること。
6 同計画に掲げられた商工会や商工会議所等の支援体制強化が実効性を持って進むよう、地方交付税措置を充実させるとともに、経営指導員や経営支援員の処遇改善及び人材確保に必要な財源を安定的に確保すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。