平和な世界の実現に必要な戦争遺跡並びに戦没者慰霊碑等(以下「戦争遺跡等」という。)の価値を再認識し、戦争遺跡等の保存を進めるよう強く要望する。
理由
我が国は、今年戦後80年の節目の年を迎えた。
戦争を経験した国民も年を追うごとに減少し、戦後生まれの国民が9割を占めるようになった今、我々国民は、多くの犠牲を生んだ戦争の悲惨さを忘れることなく、戦争という過ちを二度と繰り返さないよう、過去に学び、戦争のない世界の実現になお一層取り組んでいかなければならない。
しかしながら、ロシアとウクライナの戦争をはじめ、世界各地で戦争や紛争が絶えず、いまだに罪のない多くの人々の尊い命が失われている。
また、ロシアや中国、北朝鮮などの軍拡への動きは、隣国である我が国にとって大きな脅威となっており、我々国民は、平和により関心を持ち、平和の尊さをこれまで以上に世界に発信していかなければならない。
そのような中、戦争の悲惨さや、平和の尊さを訴える「物言わぬ証言者」として、軍事施設、防空壕、戦没者慰霊碑等への関心が高まっており、全国的に保存の必要性が叫ばれている。
しかしながら、全国に5万件あると言われてきた戦争遺跡や1万6千基以上ある民間建立の慰霊碑の中には、自治体や市民によって保存・活用されているものがある一方、既に存在しないものも多く、今後、戦争の記憶を後世に伝える貴重な遺跡を失うことのないよう、早急に保存の取組みを進める必要があると考える。
よって、国においては、平和な世界の実現に必要な戦争遺跡等の価値を再認識し、戦争遺跡等の保存を進めるため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 全国に存在する戦争遺跡等の実態調査を早急に行うこと。
2 戦争の歴史を知る上で特に貴重な戦争遺跡等を国が新たに指定し保存すること。
3 自治体や民間団体が行う戦争遺跡等の現物保存やVR保存に必要な予算を確保すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。