今後の地方における福祉人材確保の取組に支障を生じさせないために、必要な財源措置を講ずるよう強く要望する。
理由
令和6年人事院勧告を受け、国家公務員の地域手当が令和7年4月から改定された。保育所等の公定価格や児童入所施設措置費等、介護・障害福祉サービスの報酬、保護施設事務費等については、国家公務員の地域手当に準拠した地域区分に応じて算定されているが、保育士、幼稚園教諭、児童入所施設職員や介護従事者、障害福祉サービス従事者等の福祉人材については、年間の給与額が全職種平均と比較して低い状況にある。
今回の地域手当の改定に伴い、保育所等の公定価格については、令和7年4月からの見直しは実施せず、引き続き見直し方法について丁寧に議論を進めていくとされた一方、児童入所施設措置費等及び保護施設事務費等については、多くの対象施設が人材確保に苦慮しており、処遇改善が求められている状況であったにもかかわらず、事前に自治体との調整が何ら行われることなく、通知及び事務連絡により、令和7年4月から国家公務員の地域手当に準拠して見直しすることとされた。
この見直しで引き下げとなった自治体においては、対象施設の人材確保に更に大きな支障が生じるおそれがあり、施設入所者に対する支援の質の低下にもつながりかねない状況である。また、対象となる施設関係者はもとより、他の社会福祉分野の関係者からも多くの不安の声が上がっている。
よって、国においては、今後の地方における福祉人材確保の取組に支障を生じさせないために、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 令和7年4月からの地域区分の変更により、児童入所施設措置費等及び保護施設事務費等が引き下げられた自治体に対して、見直し前の水準に戻すために必要な財政措置を講ずること。
2 今回の見直しの対象とならなかった保育所等の公定価格や介護・障害福祉サービスの報酬等の地域区分について、国家公務員の地域手当に準拠することなく、今後の賃金水準や国における処遇改善の取組を踏まえた適切な水準となるよう、必要な財政措置を講ずること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。