我が国の防衛力を安定的に維持、強化するため、自衛隊員の処遇改善を図るよう強く要望する。
理由
近年、各地各国で紛争が絶えず、世界的に不安定な情勢が続いている。東アジアにおいても例外ではなく、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。
そのような中、自衛官の要員不足は依然として深刻な状況にあり、応募者数が少ないことに加え、中途退職者が一定数存在することも大きな課題である。人口減少という構造的要因に加え、安全保障環境の変化等の外的要因も影響していると考えられる。さらに、一部の政治家から、自衛隊に行く子どもたちは経済的に厳しい、経済的に豊かな子どもたちは自衛隊にはなりませんといった趣旨の、自衛隊の誇りを傷つけ、職業的な偏見を助長する不適切な発言がなされたことは極めて遺憾である。こうした発言は、国を守る志を持って自衛隊に応募しようとする子どもたちの意欲を著しくそぐものであり、結果として更なるなり手不足をもたらしかねないと強く懸念される。
また、自衛官の処遇、すなわち給与が勤務環境の特殊性や課された制約に十分見合っているとは言い難い面があること、24時間体制下での高い拘束性、若年定年制による将来設計の難しさ、幹部自衛官に多い転勤負担等も退職の一因と指摘されている。特に、士をはじめとする若年層の退職が多いことは看過できない状況である。近年ますます複雑化・高度化する防衛任務に的確に対応し、少子高齢化の進展の中で安定的に人材を確保していくためには、現役自衛隊員の処遇改善を着実に進めることが不可欠である。
加えて、退職後の将来に対する安心感を確保することも重要である。定年等により退職する自衛官は、厳格な規律意識、組織運営能力、高度な専門知識、危機管理能力を備えた極めて有為な人材である。これらの能力は、国や地方自治体の行政分野はもとより、民間企業をはじめとする多様な分野において十分に発揮され得るものである。退職自衛官がその能力を社会の中で円滑に活かし、引き続き国民生活の安全と社会の安定に寄与できる環境を整えることが求められている。
自衛官が将来に希望と誇りを持って職務に専念できる環境を整えることは、我が国の防衛力を安定的に維持、強化する上で極めて重要である。
よって、国においては、我が国の防衛力を安定的に維持、強化するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 自衛隊員の給与、休日、住居、福利厚生等を含む処遇の更なる改善を図ること。
2 自衛隊の人材確保及び人材定着を目的とした継続的かつ実効性ある施策を推
進すること。
3 退職自衛官の円滑な再就職を促進するため、必要な制度の充実及び再就職支援体制の整備を図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。