消防団員が平時の対応に加え、有事の際にも安心して活動に従事できるようにするため、出動報酬に係る処遇の改善等を図るよう強く要望する。
理由
本県においては、令和7年2月に大船渡市において発生した林野火災に続き、令和8年4月には大槌町において林野火災が発生し、2年連続して大規模な林野火災に見舞われた。いずれの災害においても、消防団員は長期間にわたり連日連夜の消火活動等に従事し、地域防災の最前線でその責務を果たした。
近年の激甚化・頻発化する自然災害の現状に鑑み、国においては、この間、消防団員の処遇改善や活動環境の整備を強力に推進してきた。具体的には、令和3年度の非常勤消防団員の報酬等の基準策定や地方交付税措置の見直しをはじめ、令和6年度からは班長階級以上の年額報酬に対する特別交付税措置の拡充、令和7年度には退職報償金への「35年以上」区分の新設等、実態に即した処遇改善に国を挙げた取組が展開されている。さらに、令和8年度予算等を通じた女性・若者の入団促進や自主防災組織の支援に加え、第1次国土強靱化実施中期計画によるチェーンソーやドローン、可搬消防ポンプ等の資機材配備、実践的なドローン講習の実施等、ハード・ソフト両面から過酷な現場における団員の安全確保と支援の拡充が図られてきたところである。
また、消防団員の出動報酬については、令和4年に総務省消防庁が標準額を示すとともに、その課税関係についても整理が行われ、全国的な処遇改善が図られてきたところである。
しかしながら、出動報酬に対する所得税の非課税限度額は1日当たり8,000円とされているが、これは建物火災への対応など1日限りの出動を前提とした制度であって、近年頻発する大規模災害における長期間の連続出動の実態を十分に踏まえたものとはなっていない。
このため、長期にわたる災害対応において出動報酬が当該非課税限度額を超える場合には、源泉徴収事務が必要となり、災害対応に忙殺される市町村に新たな事務負担を課すこととなる。これは、有事における消防団員への迅速かつ適正な報酬支払いの支障となるおそれがあり、令和4年当時の見直しの前提とは異なる事態が生じていると言わざるを得ない。
消防団は地域防災力の中核を担う存在であり、激甚化・頻発化する自然災害の現状に鑑み、団員が有事の際にも安心して活動に従事できるよう、その労苦に見合った処遇を確保することが急務である。
よって、国においては、平時の対応に加え、有事の際にも安心して活動に従事できるようにするため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 大規模災害等により消防団員が長期間にわたり出動する場合を想定し、出動報酬に係る所得税非課税限度額の見直しを行うこと。
2 平時における出動と大規模災害時における長期間の出動とを区分し、災害の実情に即した出動報酬の算定及び支給の在り方を検討すること。
3 非課税限度額を超える出動報酬の支払いに伴う源泉徴収事務について、災害対応に当たる市町村の事務負担を軽減する方策を講ずること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。