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人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止し処罰する法律の制定を求める請願

147 人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止し処罰する法律の制定を求める請願

受理番号
147
受理年月日
平成27年3月16日
付託委員会
環境福祉委員会
委員会付託日
審査結果
委員会審査日
継続審査状況
議決結果
別記のとおり
議決年月日
平成27年3月23日
措置
送付
備考
別記
1 人種差別、民族差別をあおるヘイトスピーチを法律で禁止するよう国に要望すること。
【意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択】

2 国が批准しているあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」という。)第2条1柱書、同条1(b)及び(d)並びに第4条cに基づき、人種差別を助長し扇動する団体のデモ及び集会、公共の施設等の利用を許可しないこと。
3 国が批准を留保している人種差別撤廃条約第4条(a)及び(b)に関する留保を撤回し、ヘイトスピーチを法律で規制するよう国に要望すること。
【不採択】

内容

受理番号:147
 人種差別を扇動するヘイトスピーチを禁止し処罰する法律の制定を求める請願

(請願趣旨)
 日本は、世界第3位の経済大国であり、民主主義の成熟した国として、また優れた文化を有するおもてなしの国として国際社会において高く評価されている。
 現在、日本には在日韓国人を始めとする200万人以上の外国人住民が居住し、納税の義務などを始め地域社会に応分の貢献をして生活を営んでいる。
 ところが、昨年来、主に在日韓国人を標的としたヘイトスピーチデモが日本各地で頻繁に起こっており、これに心を痛めている。とりわけ、朝鮮人をみな殺しにせよ、不てい鮮人追放、大虐殺するぞ、良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ、などというヘイトスピーチがあからさまに露出してきており、大変憂慮している。
 ヘイトスピーチデモを行う団体は、在日特権を許さない市民の会(以下「在特会」という。)を始めとするネット右翼や新興の右派団体で、拡声器を使って繁華街で怒声を飛ばし、人種差別的表現で憎悪をあおる彼らの一連の言動は、日本の社会問題として深刻化している。日本の各界においても常軌を逸した人種差別を憂慮し規制を求める声が上がっており、2020年の東京オリンピックを控え、国際社会においても問題視されている。
 私たちは、在日韓国人を始めとする外国人住民の生命と安全を脅かすヘイトスピーチ、ヘイトクライムが一日も早く根絶されるよう速やかな解決を求め、次の事項について請願する。

1 人種差別、民族差別をあおるヘイトスピーチを法律で禁止するよう国に要望すること。
2 国が批准しているあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」という。)第2条1柱書、同条1(b)及び(d)並びに第4条(c)に基づき、人種差別を助長し扇動する団体のデモ及び集会、公共の施設等の利用を許可しないこと。
3 国が批准を留保している人種差別撤廃条約第4条(a)及び(b)に関する留保を撤回し、ヘイトスピーチを法律で規制するよう国に要望すること。

(請願理由)
1 ヘイトスピーチの放置が東京オリンピックに与える影響を憂慮する。
 2020年に東京オリンピックが開催されるが、人種差別、民族差別的行為を放置することは、国際社会に、日本は人種差別を容認しているという悪い印象を与えかねない。国際社会において日本の名誉を傷つけ恥となるもので、速やかな措置が求められる。
2 ヘイトスピーチは人種差別をあおる犯罪行為である。
 朝鮮人を殺せと連呼し、良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ、などと民族殺りくを教唆するヘイトスピーチやプラカードが露骨に現われ、白昼公然と組織的に大虐殺をロにする集団の出現は、人種差別以外の何ものでもない。
 日本と同じく人種差別撤廃条約を締約しているイギリス、ドイツ、カナダなどは、人種差別の記事や演説、ヘイトスピーチや民族排撃デモを法律で禁じている。
3 京都地裁及び大阪高裁は、在特会の街宜活動を人種差別と認め、賠償命令を下している。
 京都の朝鮮学校の周辺で街宣活動し、ヘイトスピーチと呼ばれる差別的な発言を繰り返し授業を妨害したとして、2013年10月、京都地裁は、在特会などに対し、学校の半径200メートルでの街宣禁止と1,226万円余の賠償を命じている。特定の人種や民族への差別や憎しみをあおり立てる街宣や、一連の行動を動画で撮影しインターネットで公開した行為について、人種差別撤廃条約で禁止した人種差別に当たり、違法だと指摘し、示威活動によって児童らを怖がらせ、通常の授業を困難にし、平穏な教育事業をする環境を損ない、名誉を毀損したとして、不法行為に当たると判断した。控訴審判決でも、2014年7月、大阪高裁は、京都地裁の判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。
4 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(以下「Jリーグ」という。)は、Japanese onlyという人種差別的横断幕で浦和レッズに無観客試合の処分をしている。
 2014年3月8日、埼玉スタジアムで行われたサッカーJ1の浦和レッズ対サガン鳥栖戦で、浦和レッズのサポーター席に入るゲートにJapanese onlyと書かれた横断幕が掲げられた。日本人以外お断りとの差別的表現に人種差別との非難の声が内外から起こり、Jリーグは、スタジアム内にサポーターが掲げた横断幕が差別的だったと判断し、すぐに撤去しなかったクラブにも責任があるとして、浦和レッズに対し、観客を入れないでホームゲームを行う無観客試合とする最も重い処分をした。同時に、横断幕を掲げた3人が所属する20人のサポーターグループに対し、無期限の活動停止と浦和レッズの全ての試合への無期限の入場禁止の処分をした。
 同年4月22日、Jリーグは、現行の試合運営管理規程や観戦マナーとルールに、差別的、侮辱的もしくは公序良俗に反する行動の禁止の項目を追加し、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治または出自等に関する差別的あるいは侮辱的な発言または行為を禁止することを加え、また、主催クラブが違反者に対し、損害賠償を請求できることも明記した。
5 韓国人住民に対する大きな脅威であり、教育上、子供や青少年に悪影響を与える。
 韓国籍住民が多く居住し、しかも営業店舖が密集する特定の地域で、民族差別をあおりながら常軌を逸した排外的デモ、街宣活動を繰り返して行うことは、営業妨害にとどまらず身辺の安全を脅かすものである。一線を越えた民族差別は、デモを行っている特定地域のみの問題ではなく、同時に日本に住んでいる全韓国人に対する脅迫、罵倒であり、看過できるものではない。
 殺せと声高に連呼し、民族差別を助長するデモ行為は、教育上、子供や青少年に与える悪影響は甚大で、ヘイトスピーチに傷つけられないよう子供たちを守る必要があり、そのためにも厳しい法規制が必要である。
 なお、前述の請願趣旨の第2項目にもあるとおり、日本の現行法でも、人種差別撤廃条約第2条1柱書、同条1(b)及び(d)並びに同条約第4条(c)を根拠としてデモや街宣、公共の施設利用を不許可とすることはできるはずである。
 また、人種差別、排外主義、特定民族の虐殺を扇動する在特会の活動は、各地方公共団体の施設管理条例において一般的に定められている施設利用許可除外事由の公共の秩序を乱し、又は善良の風俗を害するおそれのあるときに該当するものである。
6 彼らの言動は日本社会の恥である。
 2013年5月の参議院予算委員会で、在日韓国、朝鮮人を対象とした排斥的なデモが国内で横行していることが問題となり、安倍晋三首相は、一部の国、民族を排除しようという言動があることは、極めて残念だと非難した。首相は、他国や他国の人々をひぼう中傷することで、我々が優れているという認識を持つことは間違えており、結果として自分たちを辱めていることにもなると強調した。
 また、2013年7月の日本との外相会談で、韓国側は、最近、日本の右翼団体の反韓示威が表現の自由を超える段階にあることを憂慮する、日本政府の適切な措置を期待すると述べ、ヘイトスピーチを行う反韓デモヘの対応を要請した。これに対し、岸田外務大臣は、日本は法治国家であり、法秩序を守っていく立場だと答えた。
 さらに、2014年8月、舛添要一東京都知事は、ヘイトスピーチについて、安倍首相に国レベルで対策を検討するよう要請し、これに対し首相は、ヘイトスピーチは日本人の誇りを傷つける、しっかり対処しなければならないと述べ、自民党で対応を検討する考えを表明した。
 現在、民族的人種的マイノリティ集団に対するヘイトスピーチを犯罪として規制する法律は、日本にはない。一部の国、民族を排除しようとする言動や差別の扇動は許されないという法秩序を形成していくことこそ、喫緊の課題として法治国家たる日本に求められてる。
7 国連の自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会が日本に勧告している。
 2014年7月24日、自由権規約委員会は、日本に対し、人種や国籍差別を助長する街宣活動を禁止し、犯罪者を処罰する自由権規約第20条に適応する十分な立法措置がとられていないことについて懸念を表明した。
 さらに、2014年8月29日、人種差別撤廃委員会は、人種や国籍などの差別をあおるヘイトスピーチを法律で規制するよう、また、街宣活動やネットなどで人種差別をあおる行為を行った個人、団体には必要に応じ捜査等をすることや、公人、政治家に対しては適切な制裁を求めるよう勧告した。
 また、2013年5月、国連の経済的、社会的及び文化的権利委員会も、元従軍慰安婦の女性らをおとしめるヘイトスピーチなどを防止するために、慰安婦が受けた被害について日本政府が国民を教育することを勧告している。さらに、2014年2月、米国務省は2013年度版人権報告書で、在日韓国、朝鮮人の排斥を掲げる在特会のヘイトスピーチを取り上げ、懸念を表明している。
8 ヘイトスピーチは国際社会では処罰対象である。
 ヘイトスピーチは、社会の平穏を乱し、人間の尊厳を侵すとして、諸外国で規制されている。ドイツでは、デモや集会、ネットの書き込みで特定の集団を侮辱する行為を、民衆扇動罪に定め、5年以下の禁錮刑を科している。国内に住む外国人を駆除されるべき集団などと表現する行為もこの罪に当たる。
 イギリスの公共秩序法も同様の行為に7年以下の懲役刑、フランスや民族対立から内戦が起きた旧ユーゴスラビアのモンテネグロも罰金刑を設けている。
 また、表現の自由を重視するアメリカにおいても、公民権法はもちろんのこと、人種や国籍、宗教に対する偏見に基づく暴力、脅迫などの犯罪行為を禁じるヘイトクライム法等が制定されており、人種差別を禁ずる法秩序が整備されている。

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