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医師養成定員を減らす政府方針の見直しを求める請願

86 医師養成定員を減らす政府方針の見直しを求める請願

受理番号
86
受理年月日
平成31年3月14日
付託委員会
環境福祉委員会
委員会付託日
審査結果
委員会審査日
継続審査状況
議決結果
意見書を発議し、関係機関に要望することとして採択
議決年月日
平成31年3月25日
措置
送付
備考

内容

受理番号:86
 医師養成定員を減らす政府方針の見直しを求める請願

(請願趣旨)
 総務省「就業構造基本調査」によれば、医師は、週労働時間が60時間を超える人の割合が41.8%と職種別で最も高く(雇用者全体では14%)、特に、救急や産科では、週労働時間が平均80〜90時間を超えている。夜間救急対応の当直を含む32時間連続勤務が強いられ、医師の過労死や過労自死が後を絶たず、命を守る現場で医師の命が脅かされている。この背景には、経済協力開発機構(OECD)の2014年調査で、日本の医師数は、100床当たり17.1人でドイツの47.6人、イギリスの97.7人と比較して極めて少なく、人口1,000人当たり医師数がOECD35か国中30位という絶対的な医師不足がある。従事している日本の医師数は308,105人(2016年)であり、OECD平均と比べても11万5,000人も少ない。
 さらに、この医師の異常な長時間労働に改善の兆しの見えない中、「女性医師では現場が回らない」などを理由とした、東京医科大学の不当な入試での女性差別が発覚した。男性医師の長時間労働を前提としたシステムの中、出産・子育てで「女性医師は、離職率が高い」や「女性医師は、男性医師に劣る」など、偏見に満ちた女性差別は断じて許されない。日本は、女性医師2割に対し、OECD諸国は平均で4割を超えている。日本の医療界でも根深い女性差別の大本にある、過労死・過労自死をももたらす異常な長時間労働を無くすための、医師の大幅増員こそ求められる。
 ところが、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」は、「第3次中間とりまとめ」(2018.5.31)において、遅くとも2033年頃には医師の需給が均衡するとの将来推計を根拠に、2022年度以降の医学部定員の減員に向け、医師養成数の方針等を見直していくべきとし、これを受けて政府は、「骨太方針2018」で2022年度以降の医学部定員減について検討することを打ち出した。
 しかし、厚生労働省が、定員減の根拠とする医師需給推計は、医師の労働時間をケースによっては最大週80時間とし、医療需給の見込みは入院ベッドを減らす地域医療構想に連動している。医療需給を少なく見積もり、長時間労働解消を前提としない推計を根拠に、医師の養成定員を減らす方向は、女性差別を打開する医療現場の長時間労働解消の方向とは真っ向から反するものである。
 そればかりか、救急・産科・小児科などの医師不足で「地域医療崩壊の危機」が社会問題化し、長年続いた医師数の抑制を転換して実現してきた、今の医師養成の水準を引き下げるなら、今でも医師不足にあえいでいる、地域医療の崩壊への決定打となりかねない。
政府の推計でも、脳卒中や心筋梗塞など高齢者人口の増加に伴う医療需要の伸びは、2025年に向けて急伸し、以降、2055年頃まで一貫して高止まりすると見通されている。地域住民が安心して暮らせる救急医療や地域包括ケア体制の充実のため、医師数を増やすことこそ求められる。
 以上をふまえ、地域住民の命と健康を守る立場から、国に対し、次の意見を上げるよう請願する。

(請願事項)
 2022年度以降の医師養成定員減という方向を見直し、医療現場と地域の実態を踏まえ、医師数をOECD平均以上の水準に増やすこと。

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