受理番号:28
ゆたかな学びの実現・教職員定数改善・義務教育費国庫負担制度負担率の引き上げを求める請願
(請願趣旨)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律の2021年施行により、公立小学校の学級編制基準が小学校2年生から35人に段階的に引き下げられ、中学校・高等学校での早期引下げも望まれている。岩手県においては、国に先だって令和元年度から公立の小学校と中学校は35人の学級編制となりましたが、高等学校の学級編制基準は未だ40人のままであり、引下げには至っていない。
2024年4月4日公表の文部科学省による教員勤務実態調査(令和4年度)集計(確定値)では、時間外在校等時間の月平均が公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針が示す上限の45時間を超えている教職員が小学校で約65%、中学校で約77%、過労死ラインの80時間を超える教職員が、小学校で約14%、中学校で約37%に上り、平成28年度調査と比較すると、平日の在校等時間は減少したものの、自宅等へ持ち帰っての業務時間が増加しており、大きく改善されたとは言えず、子どもたちに向き合うための十分な時間確保は困難な状況である。 それどころか、精神疾患による休職者の数は増加の一途をたどり、更に、病休者や産育休者の代替が見つからず、未配置状況が慢性化している。子どもたちの多様化が一層進展するなどの状況下において、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラー、性の不一致、保護者への対応など、学校現場で解決すべき課題もまた多様化していることが、教職員の長時間労働に拍車をかけている状況である。豊かな学びや学校の働き方改革を実現するためには、更なる学級編制標準の引下げ、少人数学級を実現するとともに、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。
義務教育費国庫負担制度については、小泉政権下の三位一体改革の中で国庫負担率が2分の1から3分の1に引き下げられた。独自財源で人的措置等を行っている自治体もあるが、岩手県では県単独予算による教員配置は講じられていないなど、自治体の財政状況により義務教育に格差が生じている。子どもたちが全国のどこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法上の要請である。国の責任において定数改善にむけた財源を確保し、義務教育を保障するための条件整備は不可欠である。
こうした観点から、2025年度政府予算編成において下記事項が実現されるよう、地方自治法第99条の規定に基づき国の関係機関への意見書を提出するよう請願する。
(請願事項)
1 中学校・高等学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる学級編制標準の引下げ等、少人数学級について検討すること。
2 学校の働き方改革・長時間労働是正を実現するため、教職員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
3 自治体で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施ができるよう加配定数の削減は行わないこと。
4 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。