受理番号:60
米の安定供給を目的とした実質的な減反政策の見直しに対する意見書の提出を求める請願
(請願理由)
昨今、問題となっている米の不足及び価格高騰により、国民の家計は大きく圧迫されている状況である。政府は備蓄米を放出したが、高 騰する米価格の大幅な改善は見られておらず、依然として国民の米不足に対する不安は払拭できていない。
現状の価格高騰にあっては、主に肥料等の生産コストの高騰や猛暑などの天候不順が原因の一つと考えられているが、米の生産量が需要に合ったものとなっていない点も大きな課題となっている。
1967年に米の生産量はピークを迎えていたが、1970年から減反政策が開始され50年後の2020年には生産量が約700万トンとなり、ピーク時より半減した状況である。
2018年には国による直接的な生産数量目標の配分(いわゆる減反)は廃止されたものの、転作農家への補助制度拡充、更には農林水産省が毎年決定する適正生産量に基づく実質的な生産調整は今もなお続いているのが実状である。
また、農業現場では、生産資材価格の高騰が深刻化している。とりわけ、肥料や燃料、農業機械の価格上昇、更には原油や物価の持続的な高騰といった外部要因が複合的に影響し、生産者の経営を圧迫している。
これらの負担が、単に収益の圧縮にとどまらず、将来的な農業継続意欲の低下につながることも強く懸念されている。
昨年に改正された食料・農業・農村基本法には、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態の確保が図られなければならないと明記されており、政府には、この基本理念にのっとり、我が国の主食である米の安定供給体制の確立に向けた実効性ある制度の再構築が強く求められる。
以上の理由から、次の事項について、地方自治法第99条の規定により、国に対する意見書の提出を求める。
(請願事項)
1 農林水産省が毎年決定、公表している米の適正生産量について、その妥当性及び必要性を含め、実質的な需給調整(いわゆる自主減反)につながる制度全体の実態を再検証すること。
2 流通ルートの点検を可能にする制度設計を図り、国内における価格の安定を図ること。
3 インバウンド需要による外食産業の米需要の高まりを見越した国内生産量を確保すること。
4 輸入に頼らない米の国内生産力確保への取組を行うこと 。
5 米の価格安定化を目的として、増産時は備蓄だけでなく輸出ルートも確保すること。
6 実態に即した生産量拡充に取り組むとともに、生産コスト高騰や農業従事者の人手不足への対応など、生産者に対する負担軽減策を適宜実施すること。