受理番号:79
岩手県における小児がん等治療後のワクチン再接種費用補助制度の早期導入及び強化を求める請願
(請願趣旨)
小児がんの治療、特に強力な抗がん剤治療や造血幹細胞移植を受けた子どもたちは、それまでに接種したワクチンの免疫効果が低下、消失してしまうことが医学的に知られている。これにより、はしかや水ぼうそうなどの重篤な感染症にかかるリスクが健常な子どもよりも高くなるため、これらの子どもたちに対しては、必要なワクチンの再接種が強く推奨されている。
しかしながら、この再接種は、たとえ定期接種のワクチンであっても任意接種の扱いとなり、原則として全額自己負担となる。小児がん治療は長期にわたり多額の費用を要するにもかかわらず、治療を乗り越えた後のワクチン再接種においても、一連の再接種に数十万円にも上る自己負担が発生し、患児の家庭にとって極めて大きな経済的負担となっている。
全国的には、このワクチン再接種に係る費用の助成を求める声の高まりを受け、助成制度を導入している自治体は増加傾向にあるが、岩手県内においては、宮古市など9市町のみとなっており、盛岡市をはじめとして、現時点で助成制度が整備されていない自治体が多数存在する。
また、既に助成制度を導入している自治体においても、助成対象が造血幹細胞移植を受けた患者に限定され、小児がん治療を受けた子どもの多くを占める抗がん剤治療を受けた患者が対象外となるケースが多く、さらには、助成対象となるワクチンの種類にも自治体間で格差があるのが現状で、県内で小児がん治療を受けた子どもたちの間に、居住地によって安全・安心に暮らせる権利に格差が生じている。
全国では、都道府県として補助事業を実施しているところも多数あり、岩手県においても、小児がん治療という困難を乗り越えた子どもたちが、経済的負担を気にすることなく、安心して地域社会で生活できるよう、全県的な格差の是正と支援の対象範囲の拡充を図るため、以下の項目について速やかに検討し、対応するよう強く請願する。
(請願項目)
1 県内全市町村が助成制度を導入できるよう、岩手県としてワクチン再接種に係る費用を補助する制度を速やかに検討し、導入すること。
2 各市町村の助成制度導入状況を県のウェブサイト等で周知すること。
3 各市町村に対して、助成制度の必要性、助成対象や助成内容について、指導・助言を行うこと。